【音楽】名曲・名演セレクション その187 Thee Michelle Gun Elephant特集⑥ / 暴かれた世界

 6thアルバム “Rodeo Tandem Beat Specter” の3曲目。

 前作5thでテンション的には行けるところまで行き切ってしまった感のあったTMGEが大きく方向転換したのがこの6thです。先行シングルだった ‘ベイビー・スターダスト’ から既に現れていましたが、今作を支配するのは悲壮感・絶望感・嘆きの感情です。1stアルバムには ‘いじけるなベイベー’ なんてタイトルの曲もあったバンドからすると、かなりの変貌かと思います。この変化のバックグラウンドには何があったのか、推測しきる事は難しいですが、同時代の日本のロックを共に引っ張ってきて、このアルバムが発売された前年2000年に解散したBLANKEY JET CITYの影響を指摘する方もおられますね (大体このあたりの時期、ベンジーのバンドのライブの観客としてチバがいたという話はよくネットで見ました)。 私的にはプライベートで何かあったのかなとか勝手に思ってます。サウンド的には、重厚感はリズム隊に任せて自身は切れ味に特化したようなギターサウンドが本作の特徴でしょうか。このアルバムのレコーディングでは、アベは全曲SUNN MODEL T&MODEL 410というアンプを使用したらしいです。音がデカすぎてライブでは使えない事もあったらしいですが。また、他のアルバム収録曲ではウエノがウッドベースを演奏する曲もあり、初期とは違うやり方でロカビリーなどオールドスクールなロックの要素が取り入れられています。

 で ‘暴かれた世界’ です。楽曲のタイトル、そして「パーティーは終わりにしたんだ」という歌詞など、今アルバムのモードを最も明確に表した収録曲かなと思います。作曲的にはこの曲もシンプルな4コード循環ですね。技巧に走り過ぎる事無く的確なプレイで楽曲を盛り立てるアベのプレイが光る曲かと思います。

 このアルバムツアー完走後バンドは一時活動休止、チバは元BLANKEY JET CITY照井利幸と組んでROSSOを結成、アルバムを一枚発表します。今回の連載ではROSSOについてはパスです。一応昔書いた記事を御紹介しときます。

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