【音楽】名曲・名演セレクション その182 Portishead / The Rip (Live)

 今回は許諾無しの映像を貼ります。消されたらすみません。気付き次第別のに貼り換えます。

 

 Portisheadの3rdアルバム、“THIRD” の4曲目。

 Portisheadは英の港町Bristol出身の3人組グループ。94年にアルバム “Dummy” でデビューし、同郷であるMassive AttackやTrickyなどと共にトリップ・ホップの先駆者的存在とされました。トリップ・ホップについて詳しくは以下のリンクをどうぞ。Portisheadに関するディープなエピソードも記載されてます。

トリップ・ホップとは?興隆から終焉、名盤誕生の背景まで - beipana

 とても簡略化して書くとトリップ・ホップとはHip Hopの影響を受けた英のクラブ・ミュージックでして、Portisheadも初期はスパイ映画サントラからのサンプリングなどサンプリングを自分達の曲作りの主要な方法として採り入れていたんですが、次第にそこから脱却、前作から10年振りに発表されたこの “THIRD” ではサンプリングを使用せず、アルバム全編を楽器の生演奏で作っています。でその変化にあたってのインスピレーションとなったのが、CanやKraftwerkといった初期ジャーマン・エレクトロニック・バンドやJoy Divisionなどだったそうです。でまぁJoy Divisionとか出てくる時点で御察し頂ける方もいらっしゃると思うんですが、彼らの音楽性としてはとにかく暗いのが特徴です。同じ90年代にデビューしたグループだとRadioheadなんかも暗いと言われますが、私的には比較にならないですね。Radioheadで一番暗いのは “Kid A” かと思いますが 、それよりPortisheadの諸作の方が断然暗くて不気味で、聴く際には覚悟が要ります。私的にはJoy Divisionの “Closer” とかNicoの “The End” とかその辺と並ぶ暗さ、暗鬱度でないかと思います。でまぁその暗い音楽が色々と音楽的な影響を与えてまして、例えば90年代後半の米のヘヴィロックバンド達は “Dummy” を愛聴していたという話を読んだ覚えがあります。でこの “THIRD” に関しては、先程も名前が出たRadioheadですね。彼らの8thアルバム “The King of Limbs” は “THIRD” から多大な影響を受けて制作されたアルバムです。YouTubeにThomとJonnyでこの ‘The Rip’ をカバーしてる動画がありますけど、アルバム制作にあたっても、アナログシンセサイザーの導入やリズムパターン (全く同じリズムパターンの曲があります) 、更にはツアーメンバーにPortisheadにも雇われていたドラマーを起用、など…まんまじゃねぇかと。勿論 “The King of Limbs” もそれだけの作品では無いんですが。まぁやった事無い方は聴き比べてみると面白いかと思います。

 楽曲についてもちょっとだけ。何と言ってもBeth Gibbonsの物悲しくも美しいヴォーカルでないかと思います。性別の違いはありますけど、声質の特性とかThom Yorkeと似てるところありますよね。どうしても悲しさを帯びてしまう感じとか。Beth Gibbonsの方が断然シャイな人みたいですけど。長いループのアルペジオも優雅ですね。途中ノンダイアトニックなB♭を挟んでくるもポイントになってるかと思います。