【音楽】名曲・名演セレクション その184 R.E.M. / Bittersweet Me

  今回はアルバム “New Adventures in Hi-Fi” リリース25周年という事で今年リイシューが行われているR.E.M.です。

 

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R.E.M.『New Adventures In Hi-Fi』25周年記念エディション 全曲公開 - amass

 私が予約したDeluxe Editionは発送が遅れてるみたいですが。

 

 R.E.M.の10thアルバム “New Adventures in Hi-Fi” の8曲目。

 R.E.M.は1980年に米のジョージア州アセンズで結成され、2011年に解散されたロックバンド。メンバーはこの “New Adventures~” のツアーでドラムのBill Berryが健康問題のため脱退し、サポートメンバーを代わりに迎えた以外は不動のラインアップ以下三名。

Michael Stipe:Vo.

Peter Buck:Gt. / マンドリン

Mike Mills:Ba. / Pf.

 バンド名のR.E.M.、一般的にはRapid Eye Movment、レム睡眠というやつの略ですが、本当のところ何の略なのかは明らかにされてません。以前の雑誌インタビューでMike Millsが「自分の祖母が『R.E.M.はRemember Every Momentの略だよね』と言った」みたいな逸話を紹介しています。そういう風に、一つの言葉に限定しない事で膨らみを持たせたかったみたいですね。

 でこのR.E.M.は一時期「世界で最も重要なロックバンド」とすら呼ばれた訳ですが、それはなんでかなというのを自分なりに考えると、オルタナティブロックにおける良心を象徴するような存在だったからかなと思います。ディストーションゴリゴリの攻撃的なサウンドではないオルタナティブサウンドを具現化した (彼らもディストーションを使わない訳では無いのですが。この曲の様に) という意味でもそうですし、地元を大事にしながら大手メジャーレーベルに依存する事無く、着実に音源リリースとライブ活動を続けたという意味でも模範的存在でしたし、メジャーに移籍してからも自分達の在り方を見失う事なく活動を続けたのも正に理想的でした。また酸性雨などの環境問題や政治的マターにも勇気を持って踏み込んでいくMichael Stipeの詩作も、熱い支持を受けていました。その一つの現れとして後進のミュージシャン達から熱いリスペクトを受けておりまして、例えばNirvanaKurt Cobainが最期にターンテーブルに載せたのはR.E.M.のアルバムだとされてますし、またRadioheadのThom YorkeもMichael Stipeとの交流が音楽活動を続けていく大きな支えになったと語っています。大衆的人気も絶大なものがありまして、R.E.M.の楽曲、例えば ‘Losing My Religion’ や ‘Everybody Hurts’ を心の支えにして辛い時期を乗り越えた方、きっと多かったんじゃないかと思います。私も時々、今でもR.E.M.が凄い聴きたくなります。

 で “New Adventures in Hi-Fi” ですが、前述の通りバンドメンバーが4人だった時代の最後のアルバムとなります。ツアー中に積極的にレコーディングを行いそれをスタジオで作った楽曲と合わせるという意欲的な作品でして、前作、前々作と漂っていた重苦しい雰囲気から脱して、大陸的な風通しの良さが気持ち良い作品かなと思います。楽曲 ‘Bitterswee Me’ に関しては、ヴァースの開放弦を上手く使ったアルペジオ、コーラスのProco Rat (多分) によるディストーションと、正にPeter Buckのギターサウンド!という感じの一曲かと思います。Michael Stipeはセレブカルチャーに余り関心の無い人なのかなと思ってますが、コーラスの歌詞、

‘I don't know what I'm hungry for, I don't know what I want anymore’

 という部分は如何にもそういうMichaelらしい歌詞かなと思います。私も基本物欲に塗れた人間ですけど、中年になって時々Michaelのそういう気分が分かる時があります。