【音楽】名曲・名演セレクション その101 T.M.Revolution / HEART OF SWORD 〜夜明け前〜

 T.M.Revolutionの3rdシングル。2ndアルバム『restoration LEVEL→3』他収録。曲タイトルの通り、アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』とのタイアップ曲でして、第28~38、43~49話のEDに使用されました。間に空きがあるのは何かというと、この曲の次にEDに起用されたのがL'arc~en~Cielだったのですが、そのL'arcがメンバーの覚せい剤取締法違反による逮捕を理由に活動自粛しちゃったんですね。なので急遽新しく作ってたEDアニメーションに合わせて前EDであるT.M.の曲が流されたという訳です。

 さて、現在でこそ子会社アニプレックスを通じてSonyが携わるアニメなんて年に何作あるのって感じですが、90年代中頃当時はまだかなり希少な話でした。その数少ないSonyが当時関わったアニメの一つが『るろうに剣心』だった訳です。当時は初代Play Stationが大ヒットしてSonyのブランドとしての評価もピークだった時代です。そのSonyが関わり、しかも当時はアニメのテーマ曲と言えば専門の歌手の方が歌う典型的アニソンが主だった時代にSony所属を中心としたアニソンじゃないフィールドで普段活動しているアーティストがテーマ曲を手掛けるという事で、アニメ『るろ剣』とそのタイアップ曲には特別感があった訳ですよ。そういうアーティストがテーマ曲を手掛けるアニメが無かった訳ではないです。私が思い出せる範囲では『SLAM DUNK』がありました。ただ、『SLAM DUNK』のEDが大黒摩季とかZARDとか既に売れているアーティストを起用するのが主だったのに対し、『るろ剣』の方は例えば初代OPがまだ当時の知名度としてはマセた中学生なら知っている程度だったJUDY AND MARYだったりと、これからのアーティストをフックアップするのが特徴的でした(ここは色々意見もあるかとは思いますが…)。で前置きが長くなりましたが、そんな『るろ剣』のEDに良い曲を提供したのがT.M.Revolutionのブレイクに大きく繋がった訳ですね。後は皆様も御存じ西川貴教の面白関西人キャラです。当時はHEY!×3とかうたばんとかトークに多くの時間を割く音楽番組がゴールデンの時間帯に多くあったのですが、そこで西川がMCの芸人と丁々発止のやりとりを繰り広げた事がお茶の間への西川のキャラの浸透に繋がった次第です。

 とこの曲が売れた経緯の話ばっかりというのもアレなので、簡単に曲自体にも触れておきます。正直イントロの10秒で決着付いてる感じはありますよね。シンセサイザーで作ったんだと思いますが、カモメの鳴き声みたいな特徴的なサウンドですね。曲のイメージを決定付ける音作りであったり、またはイントロの重要性であったりを痛感させられる曲でないでしょうか。勿論その後の歌も良いですよ。タイトルはやたらアニメに寄せてるのに、歌詞は別にそこまでなんですよね。それとも実はこの歌詞、剣心と薫の関係をイメージして書いたものだったりするんでしょうか?仄かにそんな感じがしなくもないですが。