【音楽】名曲・名演セレクション その191 Thee Michelle Gun Elephant特集⑦ / サンダーバード・ヒルズ

 7thアルバム “SABRINA HEAVEN” の9曲目。ジャケ写の車のナンバープレート、91:33は今作と “SABRINA NO HEAVEN” の収録時間を合計したもの、今作リリース時点では公表されてなかった姉妹作の存在を暗示したものとされています。

 今作 “SABRINA HEAVEN” は前作から一時活動休止とベストアルバムのリリースを挟み、またコロンビアのTRIADからユニバーサルのアイランド・レコードへとレーベル移籍をして初のアルバムとなります。アイランドって洋楽では名作を多くリリースしてきた歴史あるレーベルなので、その辺洋楽好きのTMGEの各メンバーの琴線に触れた事と思います。で音楽性なんですが、一言で言うなら変化の一枚ですね。レゲエやジャズのテイストの導入、6分超のじっくり聴かせる曲が10曲中4曲と増えた事、またピアノ、トランペットやドラム缶 (!) といった新たな楽器の導入など、とにかくこれまでTMGEでやってこなかった事をどんどんやろうという感じですね。それが各メンバーの意欲故なのか、あるいは新奇性を求めでもしない限りバンドの求心力が保てなかったのかは、ちょっと分からないですけど。こういった変化諸々に対しアレルギー反応を示した古参ファンも多かったようですね。私は後追いなんでその辺あまり抵抗無く受け入れられたんですけど。アルバムの世界観としては、前作で行きついた道の果て、終末世界を旅するという感じでしょうか。先行シングルとしてカットされたのが厭世観極まる ‘太陽をつかんでしまった’ な時点で相当なものがありますが。あとアベフトシの使用機材ですが、TMGE後期のアベはMarshall JCM900を使用した事が知られています。今作のレコーディングでも用いたという確かなソースは見つけられませんでした。何となく前作とはギターサウンドが違うような気もしますが、ちょっと自信無い…。

 でさて、‘サンダーバードヒルズ’ です。元々は6thアルバムのリリース日に行われたフリーライブ、「TMGE YOYOGI RIOT」で初お披露目されていたものになります。その時点ではまだ曲の原型という感じでしたが、歌詞や演奏など練り直されて今作収録となったようです。ジャジーに始まり熱を帯びていく演奏も素晴らしいのですが、正直この曲は「お前の未来を愛してる」、このフレーズだけでもう名曲になってる感ありますよね。他にもチバの歌詞について言及すると、コンクリート、高層ビル批判みたいなのが明白に歌われるようになったのもこの曲からでしょうか。The Birthdayになってからも、‘抱きしめたい’ で同様の気持ちが歌われてましたね。新たな音楽性や楽曲の世界観など、後期TMGEを象徴する1曲かと思います。

 

 次で特集の最終回です。恐らくファンの方はもう予想付いてると思いますが…頑張って良い記事にします。