【音楽】名曲・名演セレクション その181 Thee Michelle Gun Elephant特集③ / リリィ

 1996年10月発売の3rdシングル。翌月発売の2ndアルバム “High Time” 収録。

 私はこの2ndアルバム “High Time” (レコード盤はタイトル “is this High Time?” で、収録曲も異なっているそうです) でTMGE初期が完成したと思っています。1stアルバム以前のTMGEは一人称が「オイラ」だったりと甘ちゃんな感じが多少ありましたが、この2ndアルバムから甘さが抜けてくると共に徐々にシリアスな、殺伐とした空気を纏う様になっていき、以降更なるシリアス化へと突き進んでいきます。この2ndアルバム時点では、穏やかな昼下がりに潜む狂気、くらいですね。後期TMGEは夜に聴きたくなるけど、この “High Time” は昼間に聴きたい、というのが私のインプレッション。音楽的にはどんどんヤバくなっていくアベフトシのカッティングですね。特にアルバム5曲目の ‘シャンデリア’ はアベのカッティングが極まっている曲、演奏というより最早スポーツの類として有名な曲です。腕に自信のあるギタリストは良ければトライしてみて下さい。

 で楽曲 ‘リリィ’ について。村上龍の小説『限りなく透明に近いブルー』にインスパイアされた詩らしいです。私読んだ事無いのでアレですが、なんでも小説の登場人物、主人公の彼女的存在がリリーという名前らしいです。結構アウトローな感じのお話らしいんですけど、それをそこはかとなく匂わせるくらいの歌詞に落とし込むのが、当時のチバならではのセンスという感じですね。当時のチバがTMGEの世界観を拡張すべく色々な作品を貪欲に摂取していたその一端でしょうか。あとTMGEの楽曲と言えば外人の名前をタイトルに取り入れた名曲が、‘ゲット・アップ・ルーシー’ ‘赤毛のケリー’ などなど多数あるんですが、この ‘リリィ’ はその名前シリーズの初期の代表曲になるかと思います。多分一番最初は1stアルバム収録 ‘アンクルサムへの手紙’ ですね。