【音楽】名曲・名演セレクション その170 The Cooper Temple Clause / Let's Kill Music

 The Cooper Temple Clauseの実質的1stシングル。1stアルバム“See this through and leave”収録。

 The Cooper Temple Clause (以下TCTC) は1999年結成、2007年に解散した英Reading出身のバンド。21世紀初頭に洋楽ロックを聴いていた方ならかなり懐かしい名前なんじゃないかと思います。当時の英ロックシーンはRadioheadのOK Computer以降、ColdplayTravisといった大人しく抒情的なバンドが主流のシーンでした。それに対する欲求不満がロックに激しさや踊れる要素を求めるリスナーの間にあった、というのは以前Travisの記事で書きましたが、そういったリスナー達が待望したバンドとして現れたのが、The StrokesThe Libertinesを始めとするロックンロール・リバイバル勢で、一方違う形での解答として現れたのがこのTCTCだった訳です。サウンドの概形を述べると、まずPrimal Screamの“XTMNTR”以降を感じさせるエレクトロロックサウンドに、グランジストーナーロックといった90年代以降のUSロックの影響を感じさせるギター、そしてOasisのLiam Gallagherを想起させるメインヴォーカルBen Gautreyのガナリ声、といった次第です。過去への回帰だったロックンロール・リバイバル勢に対して、こっちのTCTCは純粋にロックの未来を感じさせるという事で、こっちに期待していた方も多かったのでないかと思います。という事でTCTCも2ndアルバム辺りまでは順調だったんですけど、バンドメンバーの脱退やらレコードレーベルの移籍やらゴタゴタして急失速、3rdアルバムとそのツアーを終了後にキーメンバーの一人だったDaniel Fisherの脱退を契機に解散。まぁ何と言うか迷走してしまった感はありますね。2ndアルバムは1stよりも思索的なサウンドで私は結構好きなんですけど、そのまま芸術性を目指す方向に突き進むのか、あるいは1stアルバムのシングルの様なキャッチーなラウドロックを目指すのか。そこがブレてバンド内でのコンセンサスが上手く取れなかったから、脱退するメンバーも出たんじゃないかと想像します。あとTCTCが頂点に行ききれなかった理由としては、正直ライブパフォーマンスが弱かったかなという印象は受けます。YouTubeにいくらか映像あるんですけど、正直イマイチなんですよね。まぁ録音が酷いだけでひょっとしたら実際はもっとマシだったかもしれませんが。私も3rdアルバムの時の来日公演行ったんですけど、そんな悪かった記憶無いんですよね。まぁ私アルコール結構入ってたんで勝手に良い気分になってただけかもしれませんが。でそのライブでの最終曲が確かこの‘Let's Kill Music’だったんですよね。クソ盛り上がってた記憶があります。