【音楽】名曲・名演セレクション その220 The White Stripes / Icky Thump (Live)

 今週の定期更新は、昨日のフジロックGREEN STAGEのトリで圧巻のライブを披露したJack White、が元々組んでいたバンド、The White Stripesです。

 

 The White Stripesの6枚目にしてラストアルバム、“Icky Thump” の1曲目。

 The White Stripesは米Detroit出身、Jack WhiteとMeg Whiteの2人からなるロックバンド。2人の関係は姉弟と公称していたんですが、実際は元夫婦だったらしいですね。1997年に結成。ブルーズ、ガレージ、パンクを折衷したオールドスクールなロックをエネルギッシュに演奏するスタイルで徐々に注目を集め、2001年発表の3rdアルバム  “White Blood Cells” でまず英でブレイク。時期的にはThe Strokesがデビューしたのが同じく2001年で、ロックンロール・リバイバルの文脈の上で彼らの音楽が評価されたという形ですね。以降はその人気が本国米を含む世界中に波及し、またバンドもそれに応えるように傑作を連発。出したアルバムが3連続でグラミー賞ベスト・オルタナティヴ・ロック・アルバム賞を取ったってのは、ちょっと他にいないんじゃないかなと思います。という風にバンドの勢いは留まるところを知らないという感じだったんですが。2011年に解散。以降Jack Whiteはソロ活動を開始、Megは引退したようです。'00年代のロックを語る上では外せないバンドですね。

 で彼らの音楽的特徴ですが、やっぱりまずはJack Whiteでしょうか。ヴォーカリスト、マルチ・インストゥルメンタル・プレイヤーとしても秀でてますが、特筆すべきはギタリストとしてですね。とにかく出す音がクソカッコいいんですよね。1960年代に通信販売で売ってたビザールなギターとアナログに拘った (少なくともJackの音作り上重要なDigitech Whammyはデジタルペダルなんで、100%アナログという事ではないですが) 機材のチョイスから繰り出される、豪快なディストーションサウンドがまずクソ最高。私は史上最もカッコよくパワーコードを鳴らすギタリストはJack Whiteだと思ってます。それが他の楽器との音域被りを心配しなくて良い2人編成というミニマムなバンド形態の上でより一層輝く。また、先述のDigitech Whammyなどエフェクターを駆使したトリッキーなプレイもJackの得意とするところ。その一方でトラディショナルなブルーズを弾かせても上手い訳で、まぁ総評するととにかくカッコいい。21世紀のギタリストとしては屈指の存在となるかと思います。

 それに対してMeg White、一部評価する人もいますけど、一般にはあまり技術のあるドラマーという評価はされてないと思います。パワー型のシンプルなリズムを叩くドラマーですね。ただこのMegのドラムが、The White StripesというバンドでJackと演奏すると輝くんですよね。シンプルなリズムは、赤白黒の3色に拘るなど余計なものを極力排除するバンドのスタイルを音楽的に象徴しているといえますし、あととにかく演奏してる時のJackとMegの絡みがセクシーなんですよね。お前らこんな演奏しといて姉弟とか名乗っちゃイカンやろうという。という訳でThe White Stripesはバンドとしては歪だったんだけど、2人の組み合わせにマジックの宿るバンドでした。今のJackソロの、凄腕プレイヤー集めたバックバンドも良いですけど、The White Stripesのミステリアスさ、不思議な魅力もまた良いよね、という事で。