【音楽】名曲・名演セレクション その207 Sadistic Mika Band / SUKI SUKI SUKI (塀までひとっとび) (Live)

 Sadistic Mika Bandの4thシングル。2ndアルバム “黒船” 収録。

 Sadistic Mika Bandは日本のロックバンド。1972~75年という短い活動期間ながら、世界を股に掛けた活動と大名盤 “黒船” で日本のロック史に燦然と輝くバンドです (ヴォーカルが交代しての再結成は'80年代以降何度かあります)。バンドメンバーを御紹介すると、

Vo:ミカ

Gt /Vo:加藤和彦

Gt:高中正義

Ba:小原礼

Key:今井裕

Dr:高橋幸宏

 という、日本のロック史に詳しい方なら驚嘆の超豪華メンバー。と言っても既にフォーク・クルセイダーズでの活動で有名だった加藤和彦以外はまだミュージシャンとして駆け出しで、バンド解散後引退したミカ以外の4名は、このミカ・バンドでの活動を切っ掛けにミュージシャンとして大成した形になります。1stアルバムは発売当時日本では大して売れなかったものの、英のLondonで評判となり、アルバムを聴いて気に入ったThe BeatlesPink Floydの作品に関わった当時の有名プロデューサーであるChris Thomasがプロデュースを申し出、450時間のレコーディングを経て完成したのが2ndアルバム “黒船” です。こいつが日本の歴代名盤ランキングみたいな雑誌の特集だと必ず上位に入ってくるような大名盤になったのですね。未聴の方は是非一度聴いてみて頂きたい。アルバム全体で一つの大きなストーリーがあるコンセプトアルバムですので、やっぱりアルバム通して聴いてこその作品かと思います。音楽的にはグラムロックプログレ、ファンクなどの折衷的スタイルですね。それらを各メンバーの高度な演奏能力で実現しているのが、当時の世界の最先端から見ても非常にモダンだったんでないかと思います。この ‘SUKI SUKI SUKI’ (シングルカットに当たり ‘堀までひとっとび’ から改題されました) に関してはファンク、特にSly & the Family Stoneですね。当時、非黒人のバンドがこのような本格的なファンクを演奏するのは、恐らく非常に珍しかったんでないかと思います。あとはヴォーカルのミカですね。歌唱力で圧倒するようなタイプのシンガーでは無いんですが、立ち振る舞い含めてカリスマ性の強いシンガーですね。高度な演奏力の楽器隊を率いるシンガーにこういうタイプを持ってくるってのがまた時代を先取りしたセンスかと思います。因みにミカは当時加藤和彦の妻だったんですがChris Thomasと不倫、加藤和彦と離婚しミカ・バンドも解散となっております。そういう経緯もあって、オリジナルメンバーでの再結成は難しかったようですね (2009年に加藤和彦が死去しており、残念ながらオリジナルメンバーでの再結成の可能性は完全に途絶えました)。