【音楽】名曲・名演セレクション その234 Arctic Monkeys / R U mine? (Live)

アークティック・モンキーズ、過去タイトル全作が紙ジャケ・高音質UHQCDの新装盤で再発決定 | NME Japan

 という事で今回は、過去作の紙ジャケ再発が決定し、今年出した新作7thアルバム “The Car” も好評なArctic Monkeysです。こういう再発って来日公演とタイミング合わせるってイメージなんですけど、そういうニュースはまだ無いみたいですね。フェスにしろ単独にしろ、何かしらの来日は期待したいですが。私は多分行けないですけど。

 

 Arctic Monkeysの5thアルバム “AM” の2曲目。2014年のReading and Leedsのライブ映像です。

 Arctic Monkeysは英Sheffield出身、2002年結成のロックバンドです。ある意味音楽好きから最も期待されている中堅層のバンドとしては、UKではThe 1975と並ぶ二大巨頭かと思います。私見ですが、現在までのArctic Monkeysの歴史は二期に分かれておりまして、第一期がデビューから5thアルバムまで、第二期が5年間のインターバルを挟んで出された6thアルバムから現在までですね。The StrokesThe Libertinesなどガレージロック・リバイバルの流れに続いて登場し、Hip Hopなど現代的な要素も感じさせた1st “Whatever People Say I Am, That's What I'm Not” が当時の英国のアルバム最速売り上げ記録を更新する大ヒット。しかしそこに留まらずバンドは猛烈に音楽性を拡張していきます。ハードロック、ストーナー、ブルーズ、サイケ、ファンク、R&B、等々。そういった音楽的な冒険がひとまずの完成形を見たのが5thアルバム “AM” ですね。英本国に加えて米でも初のミリオンセールスを記録しています。今の視点で振り返れば、アルバムの随所に漂うアダルトな雰囲気は6th以降の展開を予期させるものでもありました。で5年のインターバルを挟んでの6thアルバム以降が私の言うところの第二期ですね。このタイミングでバンドの音楽性が激変します。これまで楽曲の骨格となっていたギターからピアノによる作曲スタイルに移行、Serge GainsbourgやLeonard Cohenを想起させるアダルトなテイストのポップス作品となりました。バンドのフロントマンであるAlex Turnerが行っていたサイドプロジェクトであるThe Last Shadow Puppetsの音楽性も、今考えると伏線だったなと思います。6th発売時は正直戸惑いの声も多かったですが、そこから4年経った今年の7th “The Car” は流石にこっちも認識の変化というか諦めというか、(私も含めて) 受け入れ態勢ができてたかなと思います。一応これ書く前に7th聴き直しましたけど普通に良いですね。あとこのバンドに関しては、Alex Turnerの書く歌詞も高い評価を受けています。是非、気になった曲聴く時は歌詞も見ながら聴いてみて下さい。

 でさて、‘R U mine?’ について。先程述べた通り、第一期の完成形であり第二期を予見させるという点を鑑み、5thアルバムから特にお勧めしたい曲を選びました。ベースのNick O'Malleyが考えたリフらしいのですが、彼らが当時特に影響を受けたBlack Sabbathなど'70年代ハードロックの要素を強く想起させます。その上に乗せるヴォーカルのファルセットなんかはR&Bっぽいですよね。この ‘R U mine?’ が5thアルバム収録曲の中では最も古いもので、以降書かれたアルバム収録曲の青写真となったそうです。白人音楽的要素 (まぁロックは元々黒人のものですけど) と黒人音楽的要素のハイブリッドは、1st以来の彼らの得意技でもありますね。ただ楽曲が伝えるムードは、1stアルバム時のyouthfulなものから成熟したものへと大きく変化しています。という風に変化に対して貪欲なのがこのバンドの大きな特徴でして、なんで今後もどうなっていくか予断を許さないのがArctic Monkeysを追いかけていく楽しみの一つかと思います。気になった方はまずは過去作を聴いてみてこれまでの軌跡を辿ってみて下さい。基本どのアルバムもよくできてるんでお勧めですが、強いて挙げるなら1st、2nd、5th辺りかな。