【音楽】名曲・名演セレクション その266 Sly & The Family Stone / Family Affair

 1971年発表、Sly & The Family Stoneの9thシングル。5thアルバム “There's a Riot Goin' On (邦題は『暴動』)” 収録。

 えーさて、“There's a Riot Goin' On” はファンク・ミュージックとかブラック・ミュージックの最高傑作とか言われたりもする超有名作ですね。人種・性別混合編成のバンドとして1960年代後半には時代の寵児ともされるような存在であった彼らでしたが、フラワー・ムーブメントの崩壊など社会が閉塞感を強めるのと同じくして活動が停滞し、中心人物であったSly Stoneは薬物中毒に陥ります。そんな中レコード会社にせっつかれて殆どSly自身による多重録音で完成させたのが本作です。Sly達自身も含めて、それまでのファンク・ミュージックといえば明るくハッピーなサウンドでしたが、今作の画期的なところは重苦しく引き摺るようなファンク・サウンドを創造したところです。これが後の世代に絶大な影響を与えた。有名どころだと例えばPrinceとか密室ファンクの感じ分かりやすいと思います。ポピュラー・ミュージック以外でも'70年代以降のMiles DavisはSlyのサウンドを一つの指標にしていたと言われています。まぁ重苦しくとか書いたけど、後々の鬱系とか言われるようなバンドと比べたら全然聴ける方なので、是非試しに聴いてみて頂きたいですね。歌詞のテーマもなかなか重苦しいものではあるんですけど。この ‘Falimy Affair’ とか。当時黒人社会において家庭崩壊が問題になっていたらしい。アルバムタイトル “There's a Riot Goin' On” は同年に出たMarvin Gaye “What's Going On” へのアンサーであるとも言われてるんですが、それぞれ黒人が自らの社会への省察を深めていた事を示す象徴的な作品とも言えましょうかね。

 

 今年の定期更新も後二回だけという事で、次回次々回で今年よく聴いた邦楽・洋楽の楽曲を取り上げて締めたいと思います。