【音楽】名曲・名演セレクション その208 Pixies / Gigantic

 Pixiesの1stアルバム “Surfer Rosa” の5曲目。このアルバム、1stEPである “Come On Pilgrim” とのセット、“Surfer Rosa and Come On Pilgrim” として販売される事が多いです。

 Pixiesは1986年結成の米のロックバンド。1993年に解散、2004年に再結成、メンバーチェンジを経て現在も活動中です。最初のメンバー募集の誘い文句が「Hüsker DüとPeter, Paul and Maryが好きなメンバー求む」だった、という逸話からも明らかな通り、ハードな轟音ギターとスウィートなヴォーカル (時々叫ぶ) を組み合わせた独自のスタイルで、オルタナティブ・ロックにおける重要な源流とされています。影響を受けたアーティストの有名どころで言えば、例えばNirvanaKurt Cobainは「売れるためにPixiesをパクった」と公言してますし (具体的にフレーズなどをパクったというより、静かなヴァース→コーラスで轟音というスタイルにおいて影響を受けたという事かと思います)、Radioheadも「メンバー全員が好きな数少ないバンドの一つ」としてPixiesの名前を挙げています。またPixiesより先人ですけど、David BowiePixiesの大ファンだったと言われています。Bowieが'80年代末に組んだバンド、Tin MachineはSonic YouthPixiesの影響下にあり、Pixiesをバンドでカバーした映像も残されています。まぁ当時そんな売れたバンドという訳では無いですけど、解散後日本での知名度も含めて徐々に浸透していったバンドかと思います。よくいうMusician's Musicianってヤツですね。

 あとこの作品について語る上では、録音エンジニア (プロデューサーと呼ばれるのは嫌いらしい) Steve Albiniの存在は外せないですね。Steveは元々Big BlackRapeman (酷い名前ですが、日本の漫画がバンド名のネタ元らしい) といったバンドで活動していましたが、'80年代半ばから録音エンジニアとしての活動も開始し、そのエンジニアSteve Albiniとしての出世作がこの “Surfer Rosa” ですね。特徴としては乾いた轟音ギターとアンビエンスを巧みに取り込んだ迫力のあるドラムサウンドでしょうか。このアルバムを聴いて自分達もこういう風に録って欲しいというバンドが続出し、以降有名どころだとNirvanaの “In Utero” や、あるいは最近だとGEZANの “Silence Will Speak” も手掛けてました。最近は以前ほど名前聞かなくなりましたけど、オルタナティブな音楽シーンにおける裏方としては、Nigel Godrich辺りと共に最も有名な人物の一人でないかと思います。こういう裏方に注目して作品を聴くのも、楽しみ方の一つですね。