【音楽】名曲・名演セレクション その138 George Harrison / All Things Must Pass

 George Harrisonのソロとしては3枚目で、The Beatles解散後初めて出したアルバム“All Things Must Pass”のタイトルトラック。

 George Harrisonは上述の通りThe Beatlesの元メンバー。ソロアーティストとしても大成功を収めました。2001年に肺癌と脳腫瘍により死去。1943年にLiverpoolで労働者階級の家庭に産まれ、ギターの腕を買われて1958年にJohn LennonとPaul MuCartneyが在籍していたThe Beatlesの前身バンドであるThe Quarry Menに加入。The Beatlesでは一番年下のメンバーであり、その物静かなキャラクター(人呼んでQuiet Beatle)もありバンドの初期はJohnとPaulの影に隠れている事が多かったですが、中期以降ソングライティングの向上と共にバンド内で存在感を示すようになりました(アルバム1枚でGeorgeの曲は2~3曲という縛りの元ではありましたが)。GeorgeのThe Beatles時代の代表曲と言うと、‘Taxman’、‘While My Guitar Gently Weeps’、‘Something’、‘Here Comes The Sun’辺りですね。特に‘Something’なんて、The Beatlesの曲で一番好きだという方も多いんじゃないでしょうか。それとGeorgeはEric ClaptonBilly Prestonをバンド内に連れてきたり、シタールシンセサイザーをいち早く導入したりと、バンド内に新風を吹かす役割も果たしてました。あと物静かで穏やかな人柄だったと言われてますが、曲の歌詞では結構な皮肉を書いてたりするんですよね。例えば‘Taxman’は英国の当時の税制度へのクレームとして書かれてますし。そういう人間性の奥行きがGeorgeの魅力の一つでもありますかね。

 でさて、アルバム“All Things Must Pass”です。これはThe Beatlesの解散から7か月後に発表されたGeorgeのソロとしては初の歌物アルバムで、LP3枚組の大作ながら全米・全英ともに1位を記録したGeorgeのソロ時代の代表作です。Phil SpectorとGeorgeの共同プロデュースの元、Eric Claptonを始めとするDerek and the Dominosの全メンバーなど多くのゲストを集め、The Beatles時代にGet Back Sessionsに持ち込んだものの完成しなかったタイトルトラックなど、自由に曲を発表できなかったThe Beatles時代の鬱憤を晴らすが如く名曲を並べたものになります。歌詞面ではGeorgeが深く帰依していた東洋思想の影響が強く反映されているのが特徴ですね。この‘All Things Must Pass’なんかもまさにそんな感じでしょう。こういう時代に聴くと沁みる一曲かなと思い選んでみました。

 あとこの音源は、発表50周年記念で新たに作られた2020 mixですね。私、2001年発売のnew century editionというCD持ってるんですけど、この2020 mixの方が断然良いですね。息子Dhani曰く来年には何か出るみたいなんで、ファンの方は楽しみに待ちましょう。

ジョージ・ハリスン『All Things Must Pass』発売50周年記念し、タイトル曲が新ミックスで配信