【音楽】名曲・名演セレクション その134 Steve Reich / Music for 18 Musicians


Music for 18 Musicians

 Steve Reich、1976年の作品。ライセンス許可があったのでこの動画を引用しましたが、音質に満足できない方はCDをお買い求めください。ちなみに1998年にReichはこの作品でグラミー賞を受賞してます。

 Steve Reichミニマル・ミュージックと呼ばれるジャンルを代表する米の作曲家です。RadioheadJonny Greenwoodが‘Electric Counterpoint’をカバーしてるので知った若い方も多いんじゃないかと思います。ミニマル・ミュージックというのは現代音楽のジャンルの一つで、簡潔なモチーフを執拗に反復し、その緩やかな変化や重ね合わせにおける位相のズレに焦点を当てていこうというものです。まぁ上の音源聴いたら分かるよね。こんな感じよ。ミニマル・ミュージックに注目が集まった背景には、バッハやベートーヴェンから発展した、無調そして更にトータル・セリエリズムと音列を知的に処理するアプローチに当時限界が見えてきていたというのがあると言われています。まぁ方法論の可能性はともかく、その成果物がかなり音楽体験として聴き手を選ぶものになってしまったのが大きいのかなと思います。20世紀は大衆の時代ですからね。商売にならないと芸術活動を続けるのもなかなか辛い。その点ミニマル・ミュージックは私みたいな平民的な耳の持ち主にも親和性のある音の響きでありながら、音楽体験としては未知のものを提供できたという違いがあった。またミニマル・ミュージックについてはその思弁的性格も指摘されています。例えば、ガムランなどの非西欧圏音楽の取り込みにみられる進歩主義への批判であったり、制作の結果ではなく制作の過程を作品とする考えに見られるコンセプチュアル・アートとの近接性、などですね。まぁその辺詳しく学びたい方は本でも読まれたし。

 でさて、‘Music for 18 Musicians’ですが、Reichの活動初期を総括しつつもそれ以降展開されていく新たな要素を含んでいるという事で、彼の音楽キャリア上重要な作品と位置付けられています。タイトルの通り基本18人+αの音楽家で演奏する作品です。そして指揮者は無しというのもポイント。単なる反復の繰り返しでなく曲調の変化があるというのはReich的には当時新機軸だったのですが、それを実現するためにヴィブラフォン奏者による音の合図やクラリネット奏者による動きの合図が取り入れられています。これはガムランや西アフリカの打楽器アンサンブルで行われているものを取り入れたものです。その他用いられている楽器などはこのWikipediaのページを参照の事。

18人の音楽家のための音楽 - Wikipedia

 まぁ聴き手としてはあまり難しい事考えずに、ただ響きに耳を澄ませれば良いんじゃないでしょうか。できれば、良い再生機器で聴きたいですね。繊細な音の響きを楽しむための音楽、そういう意味では録音再生技術の発達した現代ならではの音楽でもありますよね。