【音楽】名曲・名演セレクション その277 伊福部昭 / ゴジラのテーマ

 多分、日本一有名な映画音楽でないかと。初出は1954年公開の映画『ゴジラ』。実は元々ゴジラに立ち向かう人類のテーマとして作曲されたものでして、シリーズ作品で使われなかった時期を挟んで、1975年公開の『メカゴジラの逆襲』以降ゴジラのテーマとして使用されるようになった次第です。ゴジラのスケールの大きさを表現するための重低音の協調と、変拍子のリズム、不穏な不響和音が非西洋的なテイストを漂わせます。作曲者の伊福部昭は北海道出身でアイヌ文化との出会いが大きなバックボーンになってる人物でして、「日本的な感性や普遍的なもの」にこだわった民族主義的な作品作りのアプローチを掲げておりました。独学で作曲を学び、21歳の時に管弦楽曲 ‘日本狂詩曲’ で世界的な評価を受け、映画音楽の分野でも300本以上の作品を手掛けてます。東京音楽学校 (現・東京藝術大学) で黛敏郎芥川也寸志らを教え、後に東京音楽大学で学長を務めており、音楽教育者としての側面も外せません。という事で20世紀の日本の音楽を語る上では欠かす事のできない人物ですね。