【音楽】名曲・名演セレクション その239 杏里 / CAT'S EYE

 2023年一発目の連載記事という事で、今回は40年前、1983年のヒット曲を取り上げます。

 

 杏里の13thシングル。6thアルバム “Timely!!” 他収録。

 杏里 (ANRIという名義も使っておられる模様) は日本の歌手、作曲家、作詞家。1978年、17歳の時に ‘オリビアを聴きながら’ (こちらも名曲ですね) でデビュー。歌唱力は高く評価されながらもなかなかブレイクの切っ掛けを得られなかったのですが、当時杏里のバックバンドのメンバーだった小林武史が作曲し花王のCM曲になった ‘思いきりアメリカン’ がまず1982年にヒット。そして翌'83年、アニメ『キャッツ♥アイ』の主題歌として制作された本曲が自身初のオリコン1位、同年の紅白歌合戦に初出場など人気を不動のものとします。現在はロサンゼルスに移住し、当地を拠点に国内外で音楽活動を行っておられます。また近年は世界的なジャパニーズ・シティポップ・ブームにより、海外のリスナーからシティポップのクイーンと讃えられているらしいです。

 でさて楽曲 ‘CAT'S EYE’ です。当時はアニソンといえばアニソン歌手が歌うものであり歌謡曲のフィールドで活動している歌手には縁遠いものであったそうです。杏里もアニメ主題歌のオファーを受けて当惑したそうですが、楽曲の良さに惹かれて歌う事を決めたとの事。でその結果上述の通り大ヒット。当時杏里が進めていたシティポップ路線を強く後押しする結果となり、杏里の音楽キャリアにおいても重要な曲となりました。‘CAT'S EYE’ の作曲・作詞は、初期の松田聖子作品で知られる小田裕一郎三浦徳子のコンビ。大人めいたアニメの内容に合わせての人選との事ですが、広く大衆受けも意識しての人選とも見受けられます。当時'80年代前半というと『Dr.スランプ』や『キャプテン翼』といった週刊少年ジャンプの連載漫画が次々とアニメ化され、またジャンプ自体も売り上げを伸ばしていた時期でして、そういったエンタメ事情の変化に商機を見出したTV局 (日テレです) の好判断が生んだヒット曲とも言えようかと思います。結果としてこの曲は、アニソンと歌謡曲の融合、またまたシティポップのポピュラー化、2つの事象の切っ掛けとして象徴的な楽曲となりました。とかそういう歴史的背景を踏まえて趣深い楽曲でもあるのですが、単純に歌、楽曲の核である歌詞とメロディー自体が良いんですよね。後年杏里自身がセルフカバーを重ねているのもその事を示しているんでないかと思います。因みに本楽曲の最新Ver.としてAmazon Original『ルパン三世 VS キャッツ・アイ』の主題歌 ‘CAT'S EYE2023’ が作られたそうです。興味持たれた方はチェックしてみて下さい。

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