【音楽】名曲・名演セレクション その217 THE BOOM / 風になりたい

 THE BOOMの16thシングル。6thアルバム “極東サンバ” 他収録。

 THE BOOMは1986年結成、2014年解散の宮沢和史を中心とした4人組バンド。オーソドックスなロックバンドとして活動を開始し、次第に沖縄民謡 (‘島唄’ は有名ですね)、ブラジル音楽など様々なワールドミュージックの影響を受け表現の幅を拡大、独自な表現者としての地位を築きました。なんですけど…この ‘風になりたい’ に関してはかなりそのまんまサンバですね。ただサンバに日本語の歌詞を載せただけという感じもする。そのサンバの完コピこそが彼らのやりたかった事で、それって勿論演奏技術や音楽IQが高いからできる事なんですけど…何というか、無邪気過ぎるんですよね。現在の視点で見ればですが。それってブラジル本場のサンバ奏者じゃなく日本人の貴方達が演奏して作品として発表することに意義はあるの?っていう (趣味でサンバを演奏するとかならともかく)。まぁ歌詞は結構サンバっぽい感じあるように思いますけどね。サンバ的なテーマである、日常の苦しい日々からの解放というのを「風になりたい」という風に表現するのは、詩的表現として良いですよね。そういうところ見ても決して上っ面だけ真似した音楽という訳では無いと思うけど、ただまぁこういうスタイルは文化の盗用だとか議論を呼びやすいのも確かでしょう。という訳で最近はあんまこういう事してる人は見ないですね。という風に曲の事を褒めてるんだか貶してるんだか分からない文章ですけど、素直な気持ちを書くと割と好きです。少しひんやりした音の響きもあいまって、独特の涼感を与えてくれる曲ですよね。