【音楽】名曲・名演セレクション その222 Kula Shaker / Hush

 今回は来週のサマソニに出演するバンドから、Kula Shakerです。

 

 Kula Shakerの6thシングル。元々アルバム未収録で、CDで音源欲しい方は1stアルバム “K” の再発盤など探せば良いかと思います。Joe Southという人の楽曲のカバーで、Deep Purpleなどもかつてカバーしてます。Kula Shakerの面々が知った切っ掛けとしてはひょっとしたらDeep Purpleの方かもしれませんね。

 Kula Shakerブリットポップ後期の代表的なバンドです。The Stone Roses影響下のグルーヴィなリズム隊の上に、Vo./ Gt. 担当のCrispian MillsによるJimi Hendrixライクなファンキーかつ骨太なギターが乗るバンドアンサンブル、その上に更にCrispianが傾倒していた東洋思想、アジアンテイストを取り入れる (全編ヒンディー語で歌ったシングルもあります) という実力も個性もピカイチのスタイルで躍進、1stアルバム “K” はOasis以来のデビューアルバム最速売り上げ記録を達成、加えて米や日本でも大ヒットを記録します。しかしながらアルバムリリース後、この ‘Hush’ をシングルリリースした前後から活動が暗転します。理由としてはCrispian Millsに対するメディアのバッシングです。インタビューでの発言がナチス信奉的?と捉えらたり、昔組んでいたバンドの写真 (軍国主義調だったらしい) を掲載して、また右翼とのかつての繋がりが指摘され、本人もナショナリストなのでないか?と疑惑を呼んだり。Crispianはいずれの疑惑も否定しますが、その頃行った2ndアルバムの製作は難航、結局ひどく内省的なアルバム “Peasants, Pigs & Astronauts” をリリースしてバンドは解散します (アルバムの出来は良かった。日本ではヒットしてます)。私の印象ですが、Crispian Millsは良く言えば純粋、悪く言えばナイーブなところがあったのかな、と。Crispianは父が映画監督で母は元アイドル女優という超おぼっちゃまな出自なんですが、世間ずれしてなさ過ぎた、世の中にはまともな顔して近寄ってくるけど決して関わってはいけない、旧統一教会みたいな連中がいるっていう認識が無かったんでないかと。メディアでの発言に関しても、自分の発言が歪んだ解釈を受ける可能性を考えて防衛線を張る、そういう強かさが不足してたのかな。こういう自分の過去の言動がブーメランになって帰ってくる怖さは、きっと今のSNS時代の方が皆様共感できるのでないでしょうか。

 Kula Shaker解散後のCrispian MillsはThe Jeevasというバンドを結成するも本国でのセールスが伸びずにすぐ解散、チャリティー企画への参加打診を切っ掛けに2005年にKula Shaker再結成、以降は今年までに4枚のアルバムを発表、マイペースに活動が続けられております。サマソニで観る予定の方は是非楽しんできて下さい。