【音楽】名曲・名演セレクション その218 Arcade Fire / Afterlife

 Arcade Fireの15th?シングル。4thアルバム “Reflektor” 収録。

 Arcade Fireはカナダを拠点に活動するロックバンド。中心人物はTexas出身で大学入学に当たりカナダに移住したWin Butlerと、その妻であるRégine Chassagne。音楽性としては、PixiesThe Cureなどのオルタナティブ・ロックを好むWinと、クラシックやジャズを好み多くの楽器を演奏するRégineの嗜好が入り混じった、多人数のメンバーによって奏でられる豊かなアンサンブルが特徴かと思います。2004年に発表した1stアルバム “Funeral” がDavid BowieNine Inch NailsのTrent Reznorなど多くの大物アーティストから絶賛され、またPitchforkで9.7点 (年間ベスト級の評価です) をマークするなど音楽批評においても大成功、以降も傑作を連発し、2010年発表の3rd “The Suburbs” は第53回グラミー賞で年間最優秀アルバム賞を獲得。'00年代後半から'10年代前半を代表するロックバンドの一つですね。'17年発表の5th “Everything Now” はちょっと失速したかなという感じだったんですが、今年発表したNigel Godrichをプロデューサーに迎えた6th “We” ではしっかり立て直してきて、メンバーの脱退もありましたが、またバンドの今後に期待が持てる内容だったかと思います。

 でさて、4thアルバム “Reflektor” について。Win Butler曰くアルバムのコンセプトは「スタジオ54・ミーツ・ハイチのヴードゥー・ミュージック」との事。スタジオ54というのは'70年代を象徴するニューヨーク・ディスコとの事です。ハイチの方は、2011年にハイチで初ライブを行った経験が大きく影響したとの事。どちらも共通点としては、リズム・オリエンテッドだというところですね。元LCD SoundsystemのJames Murphyをプロデュースに迎え、それまでバンドであまり追及されてこなかったダンス・ミュージックとしての機能を大きく強化した作品になります。この ‘Afterlife’ はその2つの要素のマッシュアップによるグルーヴの上に、Arcade Fireらしいメロディーと歌詞が乗る、この時期の彼ららしい楽曲かと思います。1stアルバムのタイトルが “Funeral” だった事からも分かるように、生と死というのはArcade Fireにとって重要なテーマの1つでして、Win Butlerの詩作、ストーリーテリングもバンドの大きな魅力の1つですね。