【音楽】名曲・名演セレクション その175 フィッシュマンズ / ナイトクルージング

 フィッシュマンズの多分9thシングル。6thアルバム “空中キャンプ” 収録。

 フィッシュマンズは日本のロック、というか何と言うか多様な音楽性を有するバンド。1987年に佐藤伸治小嶋謙介茂木欣一の3名で結成 (ラインアップは後々変動します)。3人とも明治学院大の学生でした。明治学院大は結構ミュージシャンを多数輩出してまして、有名どころだと南こうせつTHE ALFEEThee Michelle Gun Elephantなどが同大出身です。初期の音楽性はレゲエやロックステディを基調とし、当時のバンド・ブームまたは渋谷系に二極化していた音楽シーンでは浮いた存在であり、批評家含めフィッシュマンズをどのように受容すればよいかが理解されず、セールスでは苦戦したようです。その風向きが変わったのが1995年後のポリドール移籍後。何とレーベルに自分達専用のスタジオを建てさせるというぶっ飛んだ要求を通し、世田谷のワイキキビーチ/ハワイスタジオで自由に、じっくりと腰を据えて創作活動に励めるようになった事、またダブ、エレクトロニカなど様々な要素を加えて取り込み進化した音楽性がテクノやHip Hopといったリスナーに受け入れられ始めた事、そしてバンドがそういった周囲の環境の変化に応えるように『世田谷三部作』と呼ばれる傑作アルバムを連発する事により、バンドは黄金期を迎えます。しかしながら1999年に殆どの楽曲の作詞・作曲とヴォーカルを担当していた佐藤が急逝。バンドは活動休止を余儀なくされます。現在は唯一のメンバーとして残っていた茂木が様々なゲストミュージシャンのサポートを受けながら、フィッシュマンズという名前を後世に伝える活動をしています。

 今回フィッシュマンズを取り上げたのは、まず現在『映画:フィッシュマンズ』が公開中である事。

 そして最近、海外の音楽好きの間でフィッシュマンズの評価が非常に高まっているらしいのです。

 私も特に洋楽は割と色々聴いてきましたけど、フィッシュマンズみたいなバンドってあまり思い付かないんですよね。多様な音楽性を咀嚼して進化しまくったという意味では、音楽性は全然違うけどRadioheadとか似てるのかもしれない。現在のサブスクカルチャーにおける音楽の在り方を先取りしてるようなバンドですよね。そしてフィッシュマンズを語る上で忘れてはならないのが佐藤の歌ですね。断片的で歌詞カード読んでも何のこっちゃという感じなのに、聴いてると何となく分かってしまうという。この辺海外のリスナーから佐藤の歌がどう受容されてるのか気になるところではあります。