2013年11月21日、六本木 SuperDeluxeでのライブ映像。この楽曲のCD音源ですが、2012年に公開された映画『ドキュメント灰野敬二』の公開会場にて、“A document film of Keiji HAINO” というタイトルで限定発売されたCDに収録されていたらしいです。他にもあるのかはちょっと分からない。楽曲自体はYouTubeさんによると'90年代から演奏していたようですね。
不失者は灰野敬二率いるロックバンドですね。灰野敬二というと…正直私もそんな詳しい訳では無いのであんま大した事書けないんですが、現代日本のアンダーグラウンド音楽シーンを代表する人物と言って良いかと思います。'70年代より活動を続けており、ソロ名義の他、ロストアラーフやこの不失者など多くのグループを組み、また海外のミュージシャン含めて多数のコラボレーションに参加しており、膨大な活動歴を誇ります。この灰野敬二 - Wikipediaに載ってるCDのタイトル数だけでもヤバいものがありますし、あるいは以前出版された『捧げる 灰野敬二の世界』という本に2012年までのディスコグラフィーがまとめられているらしく、またオンライン上に有志がまとめたディスコグラフィーもありますし、深く触れてみたい方はそれらアクセスしてみて下さい。ミュージシャンとしては、独特の詩世界に定評のあるヴォーカル・パフォーマンスや、楽器においてはこの動画の様にエレキギター、またパーカッションやハーディ・ガーディ、更にはDJセットなどもプレイされます。私灰野氏がエレクトリック・ハーディ・ガーディをプレイするCD持ってるんですけど、灰野氏以外の手からは決して聴こえてこないであろうヤバい音が聴けます。という風に決してコマーシャリズムに染まる事無く音楽表現の可能性を厳格に追及し続けてきた活動姿勢は国内外問わず多くの支持者がおり、有名どころだと元Sonic YouthのThurston MooreやJohn Zornなど、また2016年にはMARC JACOBSのファッションショーに楽曲提供し、広告キャンペーンヴィジュアルに起用されております。下手したら日本国内より海外での方が有名まであるかもしれませんね。
で、不失者はハード・ロック的方法論を取り入れた、灰野氏が組んだグループの中でも最も有名な部類に入ると思われるバンドです。'80年代末よりメンバーが変わりつつ活動しており、このライブ映像時のラインアップは、ベースに元ゆらゆら帝国の亀川千代とドラムにRyosuke Kiyasuです。このメンバーでアルバムも数枚発表してますし、灰野氏的にもいくらか手応えを感じていたメンバー構成だったんでないかと想像します。残念ながら2015年に亀川が脱退し、以降不失者としての活動は途絶えているようですが。この ‘おまえ’ については、不失者の楽曲でも一般受けしやすい部類なんじゃないかと思います。抽象的なパートを経由しつつ、リフが主体的な構成に回帰する辺りは、ダイナミズムを感じやすいんでないかな。そういった中でも灰野氏にとって一つのテーマであろう、ハイが強い倍音を強調したギターサウンドは、一つ聴きどころかと思います。今回この動画で興味を持った方は、現状聴くのが難しい音源もあるかと思いますが、色々聴いてみて是非私にお勧めを教えて下さい。