【音楽】名曲・名演セレクション その140 Aphex Twin / Xtal

 先週に引き続き今週は今年よく聴いた旧譜曲、洋楽編です。

 

  Aphex Twinのその名義での1stアルバム“Selected Ambient Works 85-92”の1曲目。

 Aphex Twinとは英Cornwall(セイバー、もといアーサー王伝説の地ですね。ブリテン島の端の田舎です)出身のRichard D. Jamesが用いる名義の一つです。一つと書いた通りRichardは様々な名義を駆使しまくっており、他にAFX、Polygon Window、Caustic WindowなどもRichardのものとされています。最近だとSoundcloudに大量の未発表曲をアップしているuser18081971(Richardの誕生日です)というユーザーが、Richardなのでは?と言われていますね。戦車買ったり、アルバムのジャケットに自身の顔を醜く歪めたイメージを使ってみたりと変人エピソードの多さで有名なのですが、肝心の音楽の方でもキャラが立ちまくっており、元々匿名性の高いジャンルであるテクノにおいて唯一無二の音楽性を様々な分野に手を出して発揮する、その天才性からつけられたニックネームが「テクノ・モーツァルト」。まぁモーツァルトも変人だったみたいですからね。ただこういう変人、露悪的なイメージは中期以降のものであり、今回紹介する1stアルバム含む初期は寧ろロマンティックな音楽を照れなど見せずにやっていたという評価もあります。でそれがメディアのハイプの影響で歪められていって、敢えて変人像を自ら押し出していくようになると。成程、そう考えるとディスコグラフィーが理解しやすいかもしれませんね。

 でさて、この1stアルバムはRichardが14歳の頃からカセットテープに録りためた楽曲を集めたものになります。カセットテープ故の低音の強さらしい。特に89~92年当たりのハウス・ミュージック、“Loveless”なんかのサイケデリック・ミュージックと強く共振するものであり、それを‘Ambient’という切り口で出してきた訳ですね。でそれがアンビエント・テクノと呼ばれるジャンルの先駆けになる訳です。まぁ‘Ambient’ってありますけど、サイケデリックとかドリーミーとか形容した方がしっくり来る感じですよね。この柔らかな音像は確かにオリジナルなものであったんだろうとは思いますが。Richardによるアンビエントの掘り下げとしては、94年に2枚組の大作“Selected Ambient Works volume Ⅱ”が発表されてます。こっちはビートも穏やかで正にアンビエントという感じ。寧ろ“volume Ⅱ”の方が傑作とする方も多くいますし、興味のある方は聴いてみて下さい。あと「アンビエント」という言葉を何の説明も無く用いましたが、その内別の記事でアンビエント・ミュージックについても書きたいと思います。

 

 次点としては、アルバムですけどCanの紙ジャケ再発はよく聴きましたね。“Monster Movie”とか“Future Days”とか。残り年内の音楽関係の記事の予定としては、大晦日の今年を振り返る記事に音楽のコーナーを設ける予定です。今年良かったアルバムという内容にしたいんですが、まだ全然方向性見えてなくてヤバいですね。