【音楽】最近買った音楽の感想 2019/08/12

Schlagenheim [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (RT0073CDJP)

Schlagenheim [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (RT0073CDJP)

 

  恐らく一部の音楽ファンからは今年最も待望されていたデビューアルバムでないかと思います。私は崎山君のtwitterを見て知りました。日本盤はボートラ2曲付きです。私は元々あんまりそういうの気にしないタイプなのでアレですが、蛇足感とかは無いと思います。

 black midiは英の4人組バンド。メンバー全員がAdeleやらKing Kruleやらと同じく名門ブリットスクール出身のまだ19~20歳の若者達。若いですが楽器の演奏指導やらセッションミュージシャンで生計を立てていた事もあるらしく、意外と苦労した模様。見た目明らかに若いのに結構高いエフェクター何台も使ってるのが不思議だったんですが、働いて買ってたんですね。

 まぁ何と言ってもこのblack midiの演奏を聴くと強烈に未来を感じるんですよね。その音楽を構成するパーツは過去の音楽から受け継いでいるというのは各方面で指摘されている事ではあるけど、その組み合わせ方に知性を感じるし、高い演奏能力でもって暴力的に演奏する所がまたカッコいい。暴力的と書きましたが、そればっかりでなく落ち着いた演奏もしてみせるところがまた知的であり、バンドとしての奥行きを感じさせる。1stアルバムにして完成度の高さを感じさせながら今後の進化に期待を持たせるって、なかなかできる芸当じゃないですよね。

 結論:恐らく今年の年間ベストには確実に入る作品。お勧め


black midi - Full Performance (Live on KEXP)

 これがウェブ上にアップされるや各所にバズを引き起こした噂のライブ映像です。

 

  Thom Yorkeの純粋なソロ作としては3作目。昨年秋にサントラ発表して、あと今年の春にはクラシックピアノのための作品を発表。Radioheadは作品間のスパンが近年長いですが、Thom Yorkeは相変わらずワーカホリックですよね。日本盤の解説は小野島大氏。あと私は観てないんですが、Netflixで最近Radioheadと仲の良いPaul Thomas AndersonによるこのAnimaの曲を使った短編映像が発表されているらしい。

 小野島氏の解説によると、本作の制作プロセスは、Thomが本作のプロデューサーである盟友Nigel Godrichにラフなトラックデモを送る→Nigelがそれらの使える部分をサンプルやループの形に抽出→Thomがそれに歌を乗せ仕上げる、という形を取ったとの事。Atoms for Peaceのアルバムもベーシックなソングライティングから外れた方式を取ってましたし、プロセスを変える事で刺激を求めてるんでしょうね。で出来上がった作品ですが、ギターからストリングス、児童合唱までかなり音数が多い、音の出入りが激しいという印象。ソロライブはThomとNigelの二人体制なんで、これ再現するのは大変じゃないかと思ってYouTubeでライブ映像を観てみたんですが、結構再現できてますね。ライブの回数こなして手際良く演奏できるようになったのが音の多さにも繋がってるのかな。あとこれは従来のThom Yorkeのソロ作品から共通する点ですが、ダンスの快楽性みたいなのは敢えて抑えて、ベッドルームでのリスニング向きに仕上がってます。ただダンスの快楽性を嫌ってるって訳でもなさそうですよね、ライブでは結構フィジカルだし。この辺どう考えているのか本人に聞いてみたい所ではあります。とか作品の雰囲気を掴んで頂きたくて書きましたが、しっかりした解説はウェブ上にあちこちあるので、そちらを見て頂ければと思います。正直私に岡村詩乃、粉川しの両女史と並べて恥ずかしくないようなレビューを書くのはとても無理です。

 結論:今までのソロ三作の中では一番好きかも。過去のThom Yorkeのソロ作を聴いてピンと来なかった方も是非耳を傾けてみて頂きたい


Thom Yorke - Not The News

 これがベストトラックかはちょっと迷うところですが、公式が公開してるので取りあえず。


Thom Yorke -Twist (Live at Down The Rabbit Hole 2019)

  ライブはこんな感じです。

 

I Am Easy To Find [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (4AD0154CDJP)

I Am Easy To Find [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (4AD0154CDJP)

 

 米のインディーロックバンドThe Nationalの8thアルバム。今作は映像作家Mike Millsとのコラボレーション。と言っても単純なサントラとは違うみたいですが。制作プロセスにおいて相互影響を与え合いつつ、結局映像と音楽で別箇の作品に仕上がったみたいな感じ?あと今作はSharon Van Etten他女性ボーカルを多数フィーチャー。

  実は私The Nationalについてはニワカでして、初めて聴いたのは前作からなんですよね。そんな私のThe Nationalに対するイメージを書きますと、とにかくドラムの音がやたら良いんですよね。張り詰めた皮が弾けるような音とでも書けばいいでしょうか。音が良すぎて目立ち過ぎるので所々抑え目にしてる感すら有り。これは音フェチには堪らない物があります。あと楽曲で使われているリフなどのフレーズ(クラシック風に書けば動機)をミニマルなものに拘っているのを感じます。以前本でベートーヴェンは敢えて武骨な動機を採用してそれを楽曲で展開させていったというのを読んだ事がありますが、The Nationalの曲作りにもそういったクラシックの発想に近い物を感じます(ギタリストのBryce Dessnerはクラシック系のソロワークもこなしてましたね)。

 という訳で結論:苦み走った大人のロックを求める貴方、もしくは音フェチの貴方にお勧め


The National - 'You Had Your Soul With You' (Official Audio)

  是非ヘッドホンで聴いてみて頂きたい。ドラムの音良くないですか?

 

 最近はこの他にも結構CD買ってるので、もう一個くらいは感想の記事を書きたいと思ってます。