【音楽】最近買った音楽の感想 2020/03/07

狂(KLUE)

狂(KLUE)

  • アーティスト:GEZAN
  • 発売日: 2020/01/29
  • メディア: CD
 

  この前地元(ド田舎です)のヴィレバン行ったら大展開されてて驚きました。GEZANってもうそういうバンドなんですね。という訳でGEZANの5thアルバム。前作から一年とちょっとぶり。

 ジャケットの通り、今度のGEZANは呪術的です。呪術的と言えば私はPublic Image Ltd. / Flowers of RomanceやJoy Division / Closer辺りを思い出しますが、その辺のニューウェーブ的な音作りではなく、今作でサウンドの方向性として目指したのはダブでないかと(1曲目の歌詞にも「神さまを殺すためのDUB」とあります)。正直前作のAlbini録音より今作の音の方が好きですね。そしてそれに加えチャントのループなんかのウワモノで上手く雰囲気を演出しているという印象。そういうウワモノを上手く使って音響を上手く構築する事を達成というところ見れば、バンドというか創作集団として次のレベルに進んだのかなと思いますね。と言ってもそればっかりでは無いんですが。パンク調の曲とか、アルバム全体像を崩さない程度にバラエティーはあるかと。

 そしてこのアルバムについて述べるなら、マヒトゥ・ザ・ピーポーの書く歌詞の変化は外せないですね。政治的と呼ばれる事を恐れず嫌われる事を厭わず、ファイティングポーズを取ってきたという印象。「日常を盲目に肯定する音楽は、保身のために麻酔を打ち続けてる」なんてなかなか痛烈ですよね。自分達はそうはならないという強い意志を感じます。別にそんな党派性がある訳では無いですが、こういう変化が受け入れられない人もいるんでしょうね。私は全然有りです。マヒトゥの歌っている事が受け入れられるから。まぁ昔からGEZANを聴いてたような人なら全然OKな気もしますが。

 総評:シングル+その他というよりアルバム全体で聴かせる作品という印象。ちょっと興味を持たれた方は試しに聴いてみては。


GEZAN / 東京 (Official MUSIC Video)

 この曲の歌詞からもマヒトゥのスタンスが一部理解頂けるのではないでしょうか。

 

 良く分からないけど、取り合えずAmazon限定バージョンのリンクを貼っておきました。内容はリンク先を確認して、要らないという方は他のバージョンへの更なるリンクもあります。メジャーからは初となる、tricotの4thアルバム。ボートラとして以前の作品から「ブームに乗って」「potage」を再録。初回特典のDVD/Blu-rayは下に紹介する「真っ黒」のMVと、昨年九月のライブ映像をガッツリ収録。

 私、tricotの旧譜は1stと2ndしか持ってなくて最近の変化が良く分からないんですが、以前はどの曲もリズムが走ってたのに、今作はその辺かなり落ち着いた曲が増えたなという印象ですね。一つの曲の中でも展開に起伏のある曲が増えたし、また曲と曲の連なりにおいても、一本調子でなく緩急のある流れになってる。元々歌心のあるバンドではあったのですが、歌をじっくり聴かせるような曲も多いですね。バンドを続けてきて、面白いと思える事が変わってきているという事でしょうか。演奏面ですが、カラフルなサウンドというよりは巧みなテクニックで聴かせるという感じですね。ギターの空間系エフェクトもここぞという場面以外はあまりかけないようにしているような。これがキダ モティフォのスタイルなのかな。そういう意味では正直以前と比べて地味な作品かもしれません。ですけどなかなか良いですよ。休日の昼間に流したくなるような作品です。

総評:私は正直旧譜より好きかも。中毒性があります。


tricot「真っ黒」Music Video

 「あふれる」もそうでしたけど、中嶋イッキュウの歌詞も暗示的で面白いですよね。この曲のテーマは音楽的アイデア剽窃とかですかね?

 

ざわめき

ざわめき

  • アーティスト:羊文学
  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: CD
 

  羊文学の新作ep。昨年の「きらめき」と対になる作品との事。羊文学、デビューしてからこれでep四作目ですよね。epってフォーマットが好きなのかな。昨年末に出したシングルから「人間だった」を再収録。

 今度の羊文学は歌詞が文学です。元々塩塚モエカは良い歌詞を書いてましたけど、今作で一気に進化した印象。文明論をテーマにした一曲目「人間だった」以外は私的な世界観の楽曲ですが、そこで歌われる情景や感情の表現が一層鮮やかになったんでないかと。まぁ歌詞が良いってのを言葉を尽くして説明するってのも正直辛いんですよね。興味が湧いた方は是非ご自身で購入して聴いてみて下さい。

 演奏面においても新たな変化を感じます。これまでの羊文学はシンプルな和音を選ぶのが主だったように思うのですが、今作はアルペジオの音選びからもドミソシ以外の音を選んでいこうという意欲を感じます。あとSyrup16gのファン的には、二曲目「サイレン」アルペジオがSyrupの「月になって」のアルペジオと似ているというのは指摘しておきたいですね。たまたまなのか実際参照したのかは分かりませんが、色々な音楽を研究してそこから自分なりのギタープレイを見つけていけば良いんでないでしょうか。

総評:新境地の一作。今後にも期待。


羊文学 "人間だった" (Official Music Video)

 以前も紹介したMVですけど、他に良いのが見つけられなかったので再び紹介させて下さい。