キリ番という事で特集です。
確かに最近カバー曲ってあんま聞かないですよね。歌ってみた動画の類は日々腐るほどアップされますけど。優れたカバー曲は自身の音楽的バックボーンを語ると共に自身のオリジナリティも同時に示すつう事で、音楽活動におけるアクセントとしては良いものだと私は思っています。てな訳で以下は私が秀逸だと思うカバーを10曲取り上げたいと思います。まず洋楽から。
The Beatlesの1stアルバム “Please Please Me” 最終曲。かの有名なThe Ed Sullivan Showでの演奏動画です。楽曲のオリジナルは米のR&BグループであるThe Top Notes、The BeatlesはThe Isley Brothersによるカバーを参考にした模様。The Beatlesというとバンドが楽曲を自作自演するその先駆けとなったグループなのですが、活動初期はカバーも多数アルバムに収録しておりました。色々秀逸なカバーがあるんで聴いてみて欲しいですね。
Jimi HendrixによるBob Dylanのカバー。JimiはBob Dylanの大ファンでして、3rd “Electric Ladyland” 収録の ‘All Along The Watchtower’ はDylanがJimiのカバーアレンジを気に入って取り入れる程秀逸なカバーとして知られています。Jimiもカバーの名手ですよね。The Beatlesの ‘Sgt. Pepper's~’ のカバーをアルバム発売直後のタイミングでPaul McCartney含む観客に披露したという逸話も有名。
Patti Smithの1stアルバム “Horses” 1曲目。オリジナルはVan Morrisonが率いたThemというガレージ・バンド。と言っても歌詞はPatti Smithによるオリジナルの部分がかなり多いです。特に一番最初の「Jesus died for somebody’s sins, but not mine.」という部分は非常に有名。パンク・ロックの精神性を象徴する歌詞ですよね。
Sonic YouthによるNeil Youngのカバー。Neil Youngがテクノを取り入れようとするなど迷走していた時期の楽曲でして、そいつを当時インディー・バンドの代表的存在だったSonic Youthが非常にカッコよくカバーしてしまうという。元々は “The Bridge: A Tribute to Neil Young” というトリビュート・アルバム収録の楽曲だったのですが、楽曲のチョイスで他のバンドと差別化したわけですね。その辺の選曲センスもカバーの腕の見せ所ですよね。“Daydream Nation (Deluxe Edition)” などで聴けます。
Jeff BuckleyによるNusrat Fateh Ali Khanのカバー。アルバム “Live At Sin-é (Legacy Edition)” 収録。Jeff Buckleyもカバーの名手ですね。特にこのまだソロ活動始めたばっかりでオリジナル楽曲のストックが少なかった時期は色々なカバーを披露してます。とにかくパフォーマーとしての強度が凄いんですよね。なんでどのカバーも名演になってしまう。特にこれはカッワーリをギター弾き語りでカバーしてしまうという力業の名カバーです。
RadioheadによるJoy Division / New Orderのカバー。彼らが昔よくやってたウェブキャストで披露した演奏です。良い意味で肩の力の抜けた、好きな気持ちが素直に出た名演ですね。あとこの時の演奏だとThe Smiths ‘The Headmaster Ritual’ のカバーも秀逸。Thom YorkeのMorrisseyモノマネが上手過ぎて笑えるやつです。
The White StripesによるDolly Partonのカバー。こちらもカバーの多いバンドですね。自身の音楽的ルーツを大事にしていたバンドなので、それを示すという意図もあったのかと思います。と言いつつも豪快なディストーション・サウンドで彼らの独自性を刻み付けるのもしっかり行われており、その辺のバランス感が流石というか。
以下邦楽です。西城秀樹によるKing Crimsonのカバー。ライブ盤 “Big Game '79” 収録。大雨の中でのライブで、曲中の雷鳴の音は実際に落雷があったらしいです。楽曲にハマった素晴らしい偶然ですね。邦楽に関しては昔の方が洋楽のカバーが多かったつう印象ですね。西城秀樹は洋楽がデビュー前から好きで、ライブでは自分の好きな曲をよくカバーしてたらしいです。まぁその辺素直に出せる雰囲気もあったんでしょうね。
CorneliusによるAry Barroso作曲のボサノヴァ名曲 ‘Aquarela do Brasil’ のカバー。アルバム “Point” 収録。音響派的アプローチですね。単純に耳に心地よい。ある意味Corneliusの真骨頂ともいえるのかなという個人的見解。
Perfumeによるジューシィ・フルーツのカバー。Perfumeのライブでの定番曲ですね。テクノ・ポップ黎明期の代表曲をレトロ感を残したアレンジ。歌詞の上からお嬢様感がライブでの良いアクセントになるというか、私もかしゆかに命令されたいというドMファンが続出するというか。ライブ限定のカバー楽曲がライブならではの体験になるというのもカバー曲の魅力ですね。
次回からは通常更新に戻ります。