【音楽】名曲・名演セレクション その244 Blur / This is a Low

 という事で今回は今夏のサマーソニック、20年振りのヘッドライナーが決まったBlurです。

 

 Blurの1994年発表の3rdアルバム、“Parklife” 収録。

 Blurは英国のブリットポップ期をOasisと共に代表するバンドです。そもそもブリットポップとは何ぞやという話ですが、米のNirvanaなどグランジ勢に侵食されかけていた英の音楽シーンが、その反動として自国の伝統的な音楽文化を継承したバンド達を盛り立てていった1990年代半ばの音楽的ムーヴメントですね。Blurは以前当ブログでも御紹介したSuedeと共に、ブリットポップの着火点とされています。

kshn.hatenablog.com なんでもBlurは、1992年、グランジ全盛期の米でツアーを廻って全く相手にされなかった苦い経験の反動で自国文化回帰に向かったらしい。ひねくれてますね。ライバルであったOasis守護聖人The BeatlesやT. Rexであった一方、Blurが立ち返ったのはThe KinksXTCなど英国伝統のひねくれたポップスを奏でるバンド達でした。そういった影響を咀嚼したひねくれたコード進行、メロディの上にDamon Albarnによる演劇的でシニカルな歌詞の乗るスタイルが一つの完成を見たのが今回御紹介している3rdアルバム “Parklife” ですね。アルバム売上で初の全英1位を記録するとともにブリット・アワードで4部門を受賞するなど批評的にも大成功のアルバムでした。もっともブリットポップは翌'95年のBlurOasisシングル対決あたりをピークに消退していくのですが、その後もBlurは米のインディーロック、プログレ、アフリカ音楽など様々な音楽的要素を吸収しながら傑作を連発しています。何なら多分今一番Blurで周知されている楽曲ってグランジ風の ‘Song 2’ ですしね。寧ろ今の若いリスナーの方がBlur=ブリットポップというような観念は持ってないかもしれないですね。そういう方達にこの選曲が新鮮に映っていれば良いんですが。

 でさて、‘This is a Low’ です。シングルカットはされていないんですが、重要なレパートリーとしてライブでのハイライトシーンにおいて演奏されてきた楽曲です。Lowというのは低気圧ですね。英国の空模様を象徴する低気圧をテーマとし、英国各地の地名を織り込みつつ英国人の憂鬱気質に優しく寄り添うような歌詞、そして何と言ってもGraham Coxonによる素晴らしいギターソロですね。正に傑作アルバム “Parklife” のクライマックスとしてふさわしい楽曲かと思います。多分サマーソニックでもやると思うんで、一緒に歌いたい方は是非歌詞予習してからライブ臨まれて下さい。