【音楽】名曲・名演セレクション その165 FRICTION / Crazy Dream (Live)

 今回はあんまキレイじゃない動画を貼りますが、まぁ時代故という事で御了解下さい。あと、曲を頭出ししてますけど、その前後にレックのインタビュー映像もありますんで、興味のある方はチェックを。

 

   FRICTIONの1stシングル。1stアルバム“軋轢” (本当は正式名称は違うらしいんですけど、一般にこう呼ばれてます) 他収録。

 FRICTIONは1978年結成の日本のロックバンド。Ba. / Vo. のレックを中心とし、メンバーチェンジを経つつ現在も活動中です。前身グループは色々あるんですけどややこしいので省略。NYに渡り現地のNo Wave (NY発、パンク以降のアヴァンギャルドな音楽シーンの事です。Brian Enoが手掛けた“No New York”というコンピが有名) シーンに参加したレックとドラムのチコ・ヒゲが、帰国後に3ピースバンドを組んだのがFRICTIONとしての始まりです。その年の内にギターはツネマツマサトシに交代。この面子で80年に1stアルバム“軋轢”を発表。プロデュースは坂本龍一。この“軋轢”、日本ロック史上に残る名盤とされているんですが、一方で最高のライブバンドだったFRICTIONの魅力をちゃんと伝えてきれていないという意見もあり、まぁ割と微妙な立場のアルバムでした。ちょっと調べた感じでは、近年はデジタルリマスターの効果もあり坂本の仕事を再評価する声が高まってるのかなという感じですかね。因みに坂本龍一は、UKパンクにはとても注目していたようですが、日本のFRICTIONが属した東京ロッカーズなどのムーブメントには、所詮真似事みたいな感じで冷ややかな態度だったようです。その代わりに坂本が当時傾倒していたのがDubですね。というのを踏まえると“軋轢”の音作りの背景もより分かるんでないかと思います。改めて聴き直して、私もこれはこれでアリだなと思いましたが。

 という“軋轢”のサウンドとは全然違うのがこのライブサウンドですね。確かにこれは伝説級だわ。バンドメンバー個々の技量とかでなく、総体として塊のサウンドがクソカッコいいんですよね。そういう技巧自慢を排するようなところはパンク的なのかなと思います。更に分析すると、まずはレックとチコ・ヒゲによる、パンク以降を感じさせるタイトなグルーヴですね。リズム隊の重要さを再認識させられるところです。そしてその上を剃刀の様に、時にフリーキーに暴れまわるツネマツマサトシのギター。これはやっぱりUK New WaveよりはNY No Wave直系という感じでしょうか。言葉遊びの様な歌詞をショットガンのように吐き出すレックのヴォーカルもバンドの独特のムード形成の一助となっているかと思います。“軋轢”よりもこっちのバンドサウンドの方が好きだわという方は、初期のFRICTIONのライブ音源も色々出てるので探してみて下さい。私が持ってるのだと、“'79 Live”というアルバムはなかなか気に入ってます。