【音楽】名曲・名演セレクション その144 Kamasi Washington / Truth

 最近のYouTube、一曲だけ観てても長い曲だったら途中で広告ガンガン入れてくるじゃないですか。こうやってブログに貼り付けたらその煩わしさから解放されます。という訳でこの記事使って下さい。

 

 Kamasi Washingtonによる2017年発表のEP、“Harmony of Difference”の最終6曲目。

 Kamasi Washingtonは米LA出身のジャズミュージシャンでサックス奏者。両親ともに演奏家という音楽一家で育ち、名門とされるハミルトン高校音楽アカデミーやUCLAの在学中から様々な音楽活動に参加。CDデビューは2004年、現在も共演の多いThundercatことStephen Brunerなどと組んだグループ、Young Jazz Giantsの1stアルバムにて。以降自身のリーダー作の発表と共にWayne ShorterHerbie Hancockといったジャズ界の巨人達との共演や、Kendrick Lamar“To Pimp a Butterfly”、Flying Lotus“You're Dead!”といったジャズ以外の作品への参加で知名度を上げ、2015年発表のCD3枚組170分越えの超大作“The Epic”で現在のLAジャズシーンの中心的存在と目されるようになる。その音楽性を形容するのにFlying Lotusの言葉を借りると‘West coast Spiritual’、John Coltraneなどかつてのスピリチュアル・ジャズと呼ばれたアーティスト達との共通性を感じさせる壮大さがまず第一に来ますが、それだけではなくHip HopやR&Bなど様々な音楽の影響を折衷し、LAのミュージシャンらしく様々な外注仕事を卒無くこなす器用さも併せ持ち、また自身のリーダー作ではStaravinskyの影響やビッグ・バンドの作編曲家として名高かったGerald Wilsonのバンドに参加しその仕事を学んだ経験を活かし、作編曲家的なマインドの強い作品を作る音楽家でもあります。以前このブログでSt. Vincentとの共演を御紹介した事がありましたね。

 でさて、EP“Harmony of Difference”ですが、これは元々Whitney Biennial 2017という催しの為に作られた作品になります。

Whitney Biennial 2017 | Whitney Museum of American Art

 これですね。上のビデオもこの催しに合わせて作られたものになるみたいです。ただDIrctor's Cutになって、以前からは映像がちょっと変わってるような。EPの音楽的なテーマとしては対位法、Bachの鍵盤曲とかで複数の旋律が奏でられるアレですね。詳しく知りたい方はこちらの対位法 - Wikipediaをお読みください。この対位法的なアプローチを活用した作品になります。それと共に前半の5曲で5つの異なるテーマをそれぞれ異なるスタイルで提示し、最後の曲‘Truth’でそれら5つのテーマが壮大に結合するという、とてもコンセプチュアルな作品であります。まぁ何と言うか、素晴らしい音楽と素晴らしいビデオ、これ以上言葉で語るのも野暮かなという感じなんですが。ゴスペル的クワイアがアンサンブルに重ねられる瞬間なんかは2010年代においても最良の音楽的瞬間の1つだったんでないかと思います。