【雑記】ジャパンカップの三冠馬三強を比較する

 という事で、11/29のジャパンカップ、この歴史的なレースを楽しんで貰うための基礎知識的な記事を書きたいと思います。ただあくまでも一ファンの素人目線なので、ひょっとしたら的外れなところがあるかもしれません。そこは御容赦願います。という訳で早速行きましょう。続きを読むをクリックしてどうぞ。

 

 

 まずは基本データとしてこちらの表をお示しします(アーモンドアイ貫禄のトップ JC3強支持率大調査|極ウマ・プレミアムこちらの記事の表ががよくできてたので使わせて頂きました)。

 

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  各馬の短評から行きますか。

・アーモンドアイ…今月初めの天皇賞(秋)JRA史上最多のGⅠ8勝を達成。ディープインパクトシンボリルドルフを記録的には越えました。ただ正直なところ、ディープやルドルフと比べると取りこぼしが目立つのも事実。このレースで勝てば史上最強馬論争における大きなプラス材料になりますが果して。また、このジャパンカップにはキタサンブラックの日本史上最多獲得賞金を更新できるかも掛かってます。ジャパンカップが行われる芝2,400mの世界レコードホルダー(2年前のジャパンカップで達成)。

アーモンドアイ - Wikipedia

・コントレイル…父ディープインパクトに引き続いて無敗のクラシック三冠馬を達成。父子で無敗の三冠馬というのは、恐らく世界的にも史上唯一でないかとみられます(類例としては、ニジンスキーラムタラの父子がいます)。ただ直近の三冠馬、ディープやオルフェーヴルと比べると、正直菊花賞で大分苦戦したなという印象はあります。まぁ苦戦しても勝ちを譲らない勝負根性も見せれくれましたが。このジャパンカップに始まる古馬との戦いでも勝利を重ね、ディープインパクトの最良の後継者という評価を確かなものにしたいところです。

コントレイル (競走馬) - Wikipedia

・デアリングタクト…日本競馬で初めて無敗の牝馬三冠を達成。これはアーモンドアイもジェンティルドンナも達成できなかった偉業です。ただ、アーモンドアイの三歳時と比べてどうなんだろうというところは正直意見が分かれますね。どっちかと言うと破天荒な強さというよりは、シンボリルドルフ的な確実に勝ってくる強さの持ち主かなとは思います。日高の家族経営の小さな牧場で産まれてたり、セリ市ではあまり良い値で売れてなかったりと、今回の三強の中でも随一の雑草的パーソナリティーの持ち主。

デアリングタクト - Wikipedia

 次に血統について行きましょう。

・アーモンドアイ…父ロードカナロアは近年の国内短距離最強馬。香港スプリントを連破するなど圧倒的な成績を残しました。種牡馬としては、アーモンドアイ然りサートゥルナーリア然り、母によっては必ずしも短距離馬に限らない、中距離もある程度こなせる馬を輩出しております。母フサイチパンドラは2006年のエリザベス女王杯勝ち馬。その父サンデーサイレンス

・コントレイル…父ディープインパクトは日本史上最強にも挙げられる歴史的名馬。競走馬としても種牡馬としても破格の功績を残してます。母ロードクロサイドはコントレイルも管理する矢作調教師が、米国からの輸入や現役時の調教において関わった馬。という事で矢作調教師としては取り分けコントレイルの三冠馬は感慨深いものがあるようですね。その父Unbridled's Song。このディープインパクト×Unbridled's Songの配合は他にも優れた競走馬を多数生産している所謂ニックスとされています。

・デアリングタクト…父エピファネイアはGⅠ2勝馬と、正直上の父2頭と比べると実績で劣ります。ただ、気性の激しささえもう少しマシならばGⅠをあと2、3勝しててもおかしくないだけの素質を持った馬ではありました。その気性の激しさはデアリングタクトにも引き継がれている感じはありますね。娘はまぁ一応コントロールできてるみたいですが。母デアリングバードは1戦0勝馬。長谷川牧場は400万円弱で繁殖牝馬として購入。その父はキングカメハメハで、母は重賞3勝でGⅠ2着もあるデアリングハート

 今回の三強はアーモンドアイがMr. Prospector系、コントレイルがHalo系、デアリングタクトがRoberto系と、現在の日本の主流血統3つそれぞれがいるのが面白いところですね。

 

 ここから先は私の独断を元に三強を比較していきたいと思います。その前にまず、

・牡馬三冠と牝馬三冠とどっちが凄いのか

 それぞれ達成した近年の馬を挙げると、牡馬の方がディープインパクトオルフェーヴル牝馬の方がジェンティルドンナ、アーモンドアイ。どの馬も古馬になっても大活躍した、日本競馬史に残る名馬ばかりですね。正直以前は牡馬の三冠馬と比べると牝馬三冠馬は大分能力的に劣る感じがありましたが、ジェンティルドンナ以降は正に男勝りの活躍を見せるようになっています。その上でどっちが達成するのが難しいかですが…私はまだ牡馬の三冠の方が難しいんじゃないかと思います。理由としては日本ダービーを制した牝馬の少なさを挙げます。これまで87回の歴史を持つ日本ダービー牝馬が優勝したのはわずか3回、この50年程に限ると牝馬の優勝馬は唯一2007年のウオッカのみです。まぁ同じオーナーの持ち馬の使い分けなんかもあるんで必ずしもそうとは言えないんですが、もし牝馬が楽にダービー勝てるのなら、もっと勝利数は増えてるんでないでしょうか。とは言ってもこれは結局能力の最低水準に関する話ですからね。三冠達成後どれだけ高みに至るのかは、牡牝関係無くその馬次第です。

 という訳で以下は大胆にも三頭を並べて甲乙を付けていきたいと思います。異見は歓迎しますが罵倒は勘弁して下さい。

・騎手

アーモンドアイ(ルメール)>コントレイル(福永)>デアリングタクト(松山)

 これに関しては騎手の巧拙を語れる程私の目が肥えていないので、現時点での今年のリーディング順に並べてみました。ルメール1位、福永3位、松山4位ですね。ルメールはGⅠを3連勝中など相変わらず絶好調。ただこの前のマイルCSでは福永の好騎乗も目立っておりました。松山は最近重賞勝ちこそないものの、手堅く頑張っているようですね。正直一番騎手交替させられそう(馬主や調教師の考えにも依りますが)なのは松山なので、ある意味一番必死かもしれません。

・調教師

コントレイル(矢作芳人)>アーモンドアイ(国枝栄)>デアリングタクト(杉山晴紀)

 これも今年のリーディング順に並べてみました。まぁ調教師を勝利順に並べたからそれが何だという感じですが、この調教師が今勢い有るんだなという感じで一つのネタとしてどうぞ。

 コントレイルの矢作芳人調教師(栗東)はリーディング1位。大井競馬場の調教師の息子として産まれ開成高校卒、若い頃のオーストラリア留学や厩務員としてのキャリアを経て2005年に開業。現在の日本中央競馬では外厩施設を活用して厩舎に置く馬を順次入れ替えていくスタイルが主流ですが、そのような経営のパイオニア的存在…になるのかな?すみません、調べたけどよく分かりませんでした。代表的管理馬は去年の年度代表馬リスグラシュー、2012年ダービー馬ディーププリランテなどGⅠ勝ち馬多数。

 アーモンドアイの国枝栄調教師(美浦)はリーディング4位タイ。東京農工大学農学部獣医学科卒、調教助手を経て1990年に開業。昔は東の美浦トレセンと比べて西の栗東トレセンの方がトレーニング設備が充実しており(近年美浦の設備強化が進んでいるとも聞きますが)、調教師の成績も西高東低だったのですが、国枝師は下級条件でも積極的に関西圏に遠征させ、その際に栗東トレセンに滞在させてその施設を積極的に利用してトレーニングを行なわせる、所謂「栗東留学」と呼ばれるスタイルのパイオニア的存在として知られています。代表的管理馬は2010年に牝馬三冠を達成したアパパネ(三冠を複数回達成した調教師は国枝師が初)、2007年有馬記念マツリダゴッホなど。今回のジャパンカップではカレンブーケドールとの二頭出しとなります。このカレンブーケドールも去年のジャパンカップで2位ですからね。有力な穴馬候補かと思います。

 杉山晴紀調教師(栗東)はリーディング7位タイ。まだ38歳で調教師としては2016年に開業し5年目。GⅠ馬を管理するのは目野調教師から引き継いだケイティブレイブに続いてデアリングタクトで二頭目。若手の注目株ですね。

・負担重量

デアリングタクト(53kg)>アーモンドアイ=コントレイル(55kg)

 これは不等号の数を何個にしようかでちょっと迷いました。2kg差、微妙なところですね。軽い方が勿論有利ではあるんですが、凱旋門賞なんか程に3歳牝馬が絶対的に有利かと言うとどうだろうという感じで。この斤量差をどう判断するかは大きなポイントの一つかと思います。

 ・ローテーションの余裕

デアリングタクト>アーモンドアイ>コントレイル

 このジャパンカップに臨むまでの競馬秋シーズンをどのような臨戦過程で来たかです。お馬さんの中にはオグリキャップみたいにGⅠ連闘して両方連対するような子もいますし、必ずしも余裕のあるローテ即ち好成績という訳では無いんですが、一つの参考として、ですね。その点一番余裕があるのは間違い無くデアリングタクトでしょう。2,000mでレース内容も割と楽に勝てた秋華賞から中5週。元々ジャパンカップに出るつもりだったみたいですし、計画的に調教を積めてるんじゃないかと思います。アーモンドアイとコントレイルはどっちに余裕が有るか微妙ですが、秋2戦目中3週のアーモンドアイの方が秋3戦目で中4週、前走が3,00mでしかも大苦戦のコントレイルより余裕有りと判断しました。アーモンドアイのこれまでで一番短いレース間隔は、今年春のヴィクトリアマイル(1着)→安田記念(2着)の中2週ですね。今改めて考えると、安田記念で負けた相手がグランアレグリアならそこまで悲観的に考える事も無いかなと思えます。今回はそれより1週余裕有りますしね。コントレイルは先週まで調子イマイチだったみたいですが、今週になって劇的に良化したという報道も見られます。その辺は最終的には当日のパドック、返し馬を見て判断する事になるでしょう。

・府中芝2,400mのコース適性

デアリングタクト>コントレイル>アーモンドアイ

 コントレイルもデアリングタクトも、これまでで最も強いレースをしたのはそれぞれダービー、オークスだと私は見ています。なのでコース適性は申し分無しなのですが、今開催の東京競馬場、芝が結構荒れてるらしいんですよね。なのでパワーが要る馬場になってるんじゃないかと思います。その点を踏まえて、よりパワー型なのはデアリングタクトかなと考え、上の評価にしました。アーモンドアイも2年前のジャパンカップはヤバいくらいに強かったですが、2019年以降2,400m以上のレースに出走したのが一回だけ、しかもその有馬記念で結構な大敗をしている事、また古馬になって体型がマイラーに近づいてきているという指摘がある事を鑑み、適性では二頭に劣ると判断しました。ただマイラー体型になって筋肉付いたのも、力の要る馬場には合っているとも考えられますよね。少なくとも前走の府中で行われた天皇賞(秋)では勝ってますし。まぁ素人考えなんですけどね。

・自在性

 アーモンドアイ>コントレイル=デアリングタクト

 自在性即ち、前からでも後ろからでも自由な展開から勝てる能力という事ですね。サイレンススズカの様に自在性もクソも無いけど強かった馬もいますし、自在性が高い即ち強い馬という訳では無いんですが、レース展開を予想する上での参考の一つとでも受け取って頂ければと思います。上に貼った表の勝利番手(4角)、あとnetkeibaの通過データを参考にしました。それによると一番自在性が高いのはアーモンドアイと言えそうです。4角で2番手から16番手(!!)まで勝った事有り。要するに、逃げ以外殆ど何でも有りという事ですね。ただ府中2,400mではいずれも前目の競馬を選択しています。ルメールが今回はどういう作戦で来るのか。コントレイルとデアリングタクトは大体同じくらいの自在性かなと判断しました。コントレイルは差しの競馬もありますが、先行策を取る事が多いですね。スタートの安定性は高いと言えそうです。ただ、今週追い切り後の福永騎手のインタビューによると、コントレイルには今まで発揮させてない瞬発力があるらしいです。なんでひょっとしたらこのジャパンカップで、後方に位置取り直線で鬼脚を見せるコントレイルを観れる、かもしれない。一方デアリングタクトは後方に位置し直線で差す競馬が多いですが、秋華賞では外をまくる競馬を選択してました。府中は直線が長いですけど、アーモンドアイやコントレイルを後ろから差すってのもなかなかイメージし辛いですよね。果たして松山騎手の選択は。

 

 次に、競馬をあまり観た事のない方向けに、競馬の観方です。多分そういった方が思うのが、「どれがどの馬か分かんね」だと思います。実況に合わせて馬を追っていけば何となく分かるんですが、実況に依存せずにスタートからお目当ての馬を見ていくためには、まず出馬表でその馬がどこからスタートするか(海外の競馬だと馬番とスタート位置が対応してなくて訳分かんなかったりしますが、日本の競馬は馬番の順番に内側から並びます)と、帽子の色を確認します。アーモンドアイが2番で黒帽子、デアリングタクトが5番で赤帽子、コントレイルが6番で青帽子ですね。なんですけど黒も赤も青も二頭いる訳で、そこでそれを更に見分けるために勝負服や馬の特徴なんかを見分けます。ただ、今回の三冠馬三頭、勝負服が何となく似てるんですよね。なんで帽子の色も含めて頭を事前に整理しとかないと観戦中混乱するかもしれません。

 三頭で一番分かりやすいのがアーモンドアイですかね。シルクレーシングクラブの赤い水玉の勝負服に、馬の頭にシャドーロールという白いフワフワが付いてるのが特徴です。ただしシャドーロールはカレンブーケドールも付けるみたいなので要注意。カレンはアーモンドアイの隣スタート、馬番1番の白帽子です。

 コントレイルは水色地に赤が派手に入った勝負服です。シルクの勝負服とさえ見分ければ今回のレースでは分かりやすそうです。

 デアリングタクトは水色?緑?に白の縞が入った淡い感じの勝負服です。キセキの勝負服と何となく似ておりますが、ギザギザがデアリングタクトと憶えましょう。

 あとお馬さんを見分ける定石としては、毛の色に注目するってのもありますよね。今回のジャパンカップだと、仏からやってきたウェイトゥパリスは唯一の芦毛馬で、写真で見た感じキレイな白い馬みたいなんで、すぐ分かると思います。

 

 最後に参考レース映像です。まずそれぞれの前走から。

 次にそれぞれが府中芝2,400mを走った時の映像を。

 

 

 それでは予想される皆様の幸運を祈ります。