【音楽】名曲・名演セレクション その124 The Horrors / I See You

 今回は夏っぽい曲を選んでみました。The Horrorsと言えば大名曲「Sea within a Sea」がありますが、今回は敢えて外しての選曲です。

 


The Horrors - 'I See You' (Official Lyric Video)

 The Horrorsの4thアルバム『LUMINOUS』の7曲目。

 The Horrorsは英の5人組バンドです。元々はゴシックな仮装に身を包んだゴスガレージバンドで、Chris Cunninghamが監督を務めた「Sheena is a Parasite」のビデオで注目を集めました。なんですけど2ndアルバムでは大激変、クラウトロックシンセサイザーシューゲイザーの融合というインディーロック的夢のアンサンブルみたいなサウンドでNMEの2009年最優秀アルバムなど高い評価を勝ち取りました(この2ndアルバム発表に際してはベースとキーボードのバンド内楽器交代も行われています。メンバーが変わってそれに合わせて楽器チェンジはよく聞く話ですが、それ抜きでのこういった交替は非常にレアケースでないかと)。そして3rdアルバムではそこに更にマッドチェスター的踊れるリズムを導入するという魔改造に着手し、それがようやく結実したのが今回紹介する4thアルバムです。リズム改造の成果の一つとしての16ビートの導入はこの曲の後半でも聴けますね。身体を揺り動かすビート、シンセサイザーに牽引され熱を帯びていく演奏を感じて頂けるのでないかと思います。

 これはあくまで私の所見としてですが、テン年代前半(ひょっとしたら後半も)の英インディーロックって相当シケていたと思います。その中で唯一気を吐いていたと言っても良いのがこのThe Horrorsでないかと(私の好み的にはThese New Puritansもなんですが、彼らは我が道を行くという感じなので)。なんでこのThe Horrorsには音楽への関心を保ってくれた事への感謝の思いみたいなものがあるんですよね。彼らは5thアルバムではインダストリアルの意匠を導入という更なる変化を遂げるんですが、それもなかなか良い感じでした。これからもその尽きる事のない実験精神で良い作品を出して貰いたいなと思います。