【音楽】名曲・名演セレクション その100 The Beatles / Strawberry Fields Forever

 ピエール中野大森靖子が結婚していたとのニュースに軽く衝撃の管理人です、皆様こんばんわ。ヤフコメ見たらファンの間では有名だったみたいですが、全然知りませんでした。ピエールのtwitterも随分前に見るの止めちゃったし。となると下世話ながら気になるのが、時雨の残り二人ですね。どうなんですかね。二人ともしれっと既婚者だったりしそうな気もしますが。以前9mmのメンバーと同世代と書いた事がありますが、なので時雨のメンバーとも殆ど同じような年齢なんですよ。やはり同年代の未婚者仲間だと思っていた人がそこから抜けていくと、ちょっと焦るものはありますね。とか言っても私の現状では動きようが無いんですが。

 

 今回の定期更新ですが、祝シリーズ100回目という事で、かなり気合を入れて書きました。文の長さも多分過去最長となっております。まぁ音楽を聴きながら気楽にお読み頂ければと思います。

 


The Beatles - Strawberry Fields Forever

 The Beatlesの14thシングル。Penny Rainと両A面。The Beatlesはファンのために、シングルで発表した曲はアルバムにまた収録しないという方針を取っていたのですが(少なくとも本国盤では)、この曲は米で作られたMagical Mystery Tourという編集盤に収録され、それがThe Beatles中後期の非アルバム収録曲を網羅するのに簡便であるという事で、後に本家英でもディスコグラフィーに採用されています。The Beatlesの解説とか別に良いでしょ。John、Paul、George、Ringoの四人組で史上最も偉大なロックバンドです。個人的にはThe Beatlesの良さが分からない自称音楽好きは信用してません。

 でさて、Strawberry Fields ForeverはJohn Lennonの書いた曲になります。ライブ活動から引退後Sgt. Peppers~制作期のJohnはスランプに陥ってたのですが(だからSgt. Peppers~はJohnの筆による曲が少ない)、ただ少ないながらも曲として仕上げたものはどれも良質の楽曲揃いなんですよね。Lucy in the Sky with Diamondsしかり、あるいはBeing for the Benefit of Mr. Kite!やGood Morning Good MorningはSgt. Peppers~の中でもとりわけブッ飛んでますし。A Day in the Lifeも一部書いてますね。と寡作ながらも良い曲を書いていたこの時期のJohnの作でもとびきりのエースがこのStrawberry Fields Foreverでないかと思います。

 楽曲の分析ですが、まずは歌詞などから行きましょうか。タイトルのStrawberry Fieldsですが、当時Liverpoolに実在した戦争孤児院(細かく言うと実際の場所名はsが付かない)でして、子供時代のJohnがよく遊んでいた場所になります。閉鎖取り壊しを経て現在は研修施設兼観光スポットとして一般開放されているそうです。超行きてぇ。

ストロベリー・フィールズよ永遠に──あのビートルズ聖地が復活へ | ワールド | for WOMAN | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 歌詞はJohnお得意のナンセンスが炸裂した何とも不思議なものになってます。Paulの分析によれば、Lewis Carrollの『ジャバウォックの詩』からインスパイアされたものでないかとの事。歌詞全体にYesともNoとも割り切れないものがありますが、これは当時のスランプで自信喪失気味だったJohnの心情を反映したものかもしれませんね。後の断定的にメッセージを歌うJohnと比べると隔たりを感じたりもしますが。あと“No one I think is in my tree”とありますが、ひょっとしたら実際にStrawberry Fieldにあって、Johnが昔登ってた木の事を歌ってるのかも、とも考えられます。とか考えると、ひょっとしたら意外と実際の思い出に因んだ歌詞だったりするのかもしれませんが。まぁここはミステリーですね。

 で次にサウンド面ですが、この曲はアレンジ面で大いに難航した曲でして、当時としては異例に長期、5週間に渡り制作時間45時間掛かっております。現在ならこのくらいザラなんでしょうけどね。当時は1stアルバムのレコーディングは1日で全部終えたとかそういう時代でしたから。で最終的には、アレンジも違えばキーもテンポも違う2つのテイクを無理やり繋ぎ合わせるという当時の技術では相当無茶な技をやってます。現在だとどうなんでしょうか。確かテンポは結構自由に弄れたと思いますが、ハ長調ニ長調に移調とか、そういうキーを弄るのも自由にできるんですかね?Johnがそんな無茶を要望してきたのに対し、プロデューサーのGeorge MartinとエンジニアのGeoff Emerickは2つのテイクのテープスピードを上げたり下げたりした上で繋ぎ合わせる事で何とか実現しています。でその2つのテイクを繋ぎ合わせた境界がこのビデオで丁度1:00の辺りなんですけど、その前後でJohnの声のピッチを注意深く聴いて頂ければ1:00以降は少し低くなってる事が分かると思います。まぁこの程度の差異で繋ぎ合わせただけ、GeorgeとGeoffはとても良い仕事をしたと言えるのではないでしょうか。

  でこの曲はロック、ひいてはポピュラーミュージックのサウンドの新たな境地を開いたものと言えるかと思いますが、そこで使われている楽器も従来のチョイスには無かったものが用いられています。まずイントロの印象的な音ですが、これはメロトロンという楽器になります。後のプログレッシブロックで大いに用いられてRadioheadもOK Computerの頃によく使ったりしたシンセサイザーの祖先(というには原理に隔たりがありますが。寧ろサンプラーの方が近いか)みたいな鍵盤楽器です。このStrawberry Fields Foeverがそのメロトロンのポピュラーミュージックでの使用において先駆けの一つと言えるのではないかと思いますが、決定打みたいなところもありますね。それと1:18の下降するメロディーなんかを奏でるきらびやかな弦の音はスワンマンダルというインドの楽器になります。これは間違い無くGeorgeが持ち込んだんでしょうね。いや、今回調べるまでずっとシタールの音だと思ってました。あとGeorge Martinが手掛けたオーケストレーションも、新境地を開いたと言えるのでないでしょうか。これまではいかにもクラシック畑の人が手掛けましたという感じ(これはそもそもオーケストレーションを施した楽曲がクラシック音楽との親和性が高いものだったというのもあるのかな)でしたが、この曲のオーケストレーションはポピュラーミュージックのオーケストレーションという感じで、従来の文法には当てはまらない感じがすると言いますか。例えばアウトロのエレキギターとオーケストラが呼応し合うところなんか、それらを並列に扱ってる、これまでとは発想が確実に変わってきているように思います。まぁ楽譜分析をした訳でもない所詮素人の意見なんですが。ただ、これ以降Georgeの施したオーケストレーションがより楽曲を色鮮やかに彩るようになるってのは言えますよね。あともう一個駄目押しに書くと、ギターのアレンジもとても良いですよね。ヴァースの何とも取り留めのない感じがこの楽曲にはとても合ってる。

 にしてもこの記事書くために上の動画を20回くらい再生したんですが、とんでもなく素晴らしいですね。20世紀のポピュラーミュージックにおける金字塔と言っても良いんじゃないでしょうか。少なくとも私はそう思います。