【音楽】名曲・名演セレクション その189 THA BLUE HERB / 未来は俺等の手の中

 年末という事でTMGE特集はお休みして、今年よく聴いた曲、邦楽編です。

 

 THA BLUE HERB (ミスタイプじゃないですよ。黒人のスラングでtheの事をthaと書くらしいです) の3枚目のシングル。2003年発表。

 THA BLUE HERBは北海道札幌を拠点とする3人組Hip Hopクルー。詳しい話は以下のバイオを参照の事。…すみません、正直日本のHip Hopとか全然詳しくないので独自の記述とかできないんですよ。

TBHR [THA BLUE HERB RECORDINGS]JP

  こっちはオフィシャルなもの。

北の地に根ざし鋭利なメッセージを放ち続けるTHA BLUE HERBの名曲10選 | | Dews (デュース)

 どういうグループなのかはこっちの方が分かりやすいかもしれない。

 で、楽曲 ‘未来は俺等の手の中’ です。これは元々、THA BLUE HERBの元に、THE BLUE HEARTSのトリビュートカバーアルバムへの参加依頼があり、それを切っ掛けに制作されたものとの事です。なんですけど出来上がった楽曲はタイトル以外全くのオリジナルなもので、これはカバーじゃねぇなという事でトリビュートアルバムへの収録は見送られ、それならばという事でTHA BLUE HERBが自らのレーベルから発表した、という経緯があります。一聴して感じられるのが ‘未来は俺等の手の中’ という字面だけ観たらポジティブな感じのタイトルと反する不穏なサウンドですね。五里霧中の中必死に未来を切り開くようなリリックと照らし合わせると、バッチリなんですが。そして複雑な、人力的なノリを感じさせるドラムプログラミングも、あんまHip Hop聴き込んでない私には、「Hip Hopにはこんな表現もあるのか!」ととても新鮮に感じられたポイントでした。そしてリリックですね。恐らく実際の彼らの足跡に基づいたものだと思われるのですが (バイオにもありますが、リリックに出てくる “知恵の輪” は彼らがブレイクする切っ掛けとなったシングル、“STILLING, STILL DREAMING” は1stアルバムです)。泥水を啜るような下積み時代があるからこそ、最後のメッセージが説得力を帯びるんですよね。これを「未来への希望が感じられる」とか、そんな薄っぺらい言葉で片付けるのは躊躇してしまうくらい重たいものだと思うんですけど。私ごときが言葉にするのも気が引けますが、敢えて書くならば「覚悟」でしょうか。まぁ若い方にこのリリックがどう響くのかは分かりませんが、夢を追ってる方の心には何かしら残るものがあるんじゃないかな。