【音楽】名曲・名演セレクション その168 Joni Mitchell / A Case of You

 昨日までの記事投稿で、記事投稿1,000本を達成しました。2年と11カ月での達成という事で、平均するとなかなか私記事書いてますね。結構何も書かない日も多いというセルフ印象なんですけど。昨日みたいに時間ある日に複数記事書く事が多いからかな。という訳で引き続き良い記事を書けるように頑張ります。

 閑話休題。今回はアルバム“Blue”発表50周年、ボックスセットも出たしという事でJoni Mitchellです。

ジョニ・ミッチェル 初期アルバム4作のリマスター・ボックスセット 全曲公開 - amass

 どの曲にするか迷ったんですけど、カバーしてる人の多い (Prince、James Blake等々) この曲にしてみました。

 

  Joni Mitchellの4thアルバム“Blue”の9曲目。

 Joni Mitchellはカナダ出身の女性SSW。20世紀後半の女性アーティストでは最高峰とされる人物です。私的な位置づけで言うと、Bob Dylanをボロクソに貶しても、「まぁあんたが言うのなら分かるわ」と思わせる唯一の人物という感じですね。オープンチューニングを駆使したギター奏法やJaco Pastoriusなど起用してのジャズの導入といった高度な音楽性で後進に影響を与えている上、恋に生きその生き様を歌詞にして歌っていく生き方は、女性アーティストの一つのロールモデルとなってるように思います。元々は美大で絵画を専攻していた (上の動画の絵もJoniによる自画像です) がドロップアウトしてフォークミュージシャンに転向、デビュー前ながら自作曲が他のアーティストにカバーされる (いかにも昔のフォークシーンならではという感じですね) などして徐々に注目を集め、David Crosbyが彼女をロサンゼルスに連れて行ったのを切っ掛けにしてデビュー。以降現在に至るまで21枚のアルバムを発表しています (近年は難病を患い闘病中との事です)。あまり本人は公に語ってこなかった話なのですが、実は彼女のソングライティングのインスピレーションが本当に始まった出来事として、デビュー前の貧しかった時代に子供を出産し、でも育てきれなくて養子に出した経験があるそうです。といったドラマチックな彼女の生涯について知りたい方は、例えばジョニ・ミッチェル - Wikipediaでも読んでみて下さいませ。

 でさてこの楽曲、ちょっと変わった弦楽器の音がしますが、これはアパラチアン・ダルシマーという楽器だそうです。アメリカの民族楽器としてはポピュラーなもので、Brian Jonesも演奏した事があるそうです (ただしBrianが用いたのはエレクトリックなの)。参考動画も付けておきますね。

  歌詞の「I am as constant as a northern star」という一節はシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』のシーザーの台詞からとられたそうです。Joniの母親は幼いJoniに、普通の家庭だったら聖書を語り聞かせるところをその代わりにシェイクスピアの作品を語り聞かせてたらしいです。そういう幼い頃から培ったものもアーティストとしてのJoniを形成したんでしょうね。‘A Case of You’というタイトル、私も歌詞調べるまで「あなたの場合」だと思ってましたが、正しくは恋人 (元恋人?) をワインに例えて、「あなただったらケース一杯分でも飲み干せるわ」という意味ですね。歌詞総じて、本人の恋愛の経験を歌にしてるんだろうなというのは分かるんですけど、語り過ぎない、説明し過ぎないんですよね。その辺の想像力の刺激の仕方が上手いな、正にアーティストだなと感じます。