【音楽】名曲・名演セレクション その230 Rickie Lee Jones / Company

 Rickie Lee Jonesの1979年作1stアルバム “Rickie Lee Jones” (邦題『浪漫』) の10曲目。

 皆様、ジャケ買いという言葉を聞いた事があるでしょうか。知らない音楽をジャケットが気に入ったからという理由一点突破で買ってしまう行為の事ですね。サブスク全盛の現在では衰退しつつある文化かもしれませんが。私も貧乏器質でついつい慎重な購買行動を取ってしまうため、余り純粋なジャケ買いはした事無いんですが、このRickie Lee Jonesの1stはかなりジャケ買い的な買い方をしたと記憶しています。ブロンドの美しい女性 (Rickie Lee Jones本人です) が煙草を咥えて物憂げな表情を浮かべている、アルバムの音楽性を象徴する大人な雰囲気が素敵な写真です。このジャケにやられた人、結構多いんじゃないでしょうか。因みに、2chに昔書かれていた情報なんで真偽の程は微妙ですが、この咥えている煙草はエンジェルダストという超ヘビーな麻薬だという説があります。漫画『シティーハンター』に出てくるヤツですね。このジャケットに関する話を聞くまで、エンジェルダストは北条司先生が創作したんだと思ってました。正確なところを述べると、一部の服用効果は『シティーハンター』のオリジナル設定らしい。一応書いておきますけど、くれぐれも「へぇ、そんな麻薬があるのか。自分も試してみたいな」とか思わないで下さいね。

 そろそろ作品について。Rickie Lee Jonesは1954年生まれの米のSSW。波乱万丈だった青春時代の後19歳でLos Angelsに辿り着き、ウェイトレスとして働きながら様々なクラブで歌っていたそうです。そのRickieが1977年に出会ったのが、当時既にプロとしてデビューし3枚のアルバムを発表していたTom Waits。2人はすぐに意気投合し、同棲を開始したそうです。当時Tom Waitsが発表したアルバム “Blue Valentine” にもRickie Leeの後ろ姿が登場しています。という風に仲は決して悪くなかったようなんですが、Rickie Lee Jonesのデビューが近づいてきた時期に別れるという選択が取られたらしいです。このままずっと付き合い続けたらお互い駄目になってしまうとかそんな理由だったらしい。で多分この ‘Company’ はその別れた恋人、Tom Waitsの事を想った歌ですね。アルバム全体としては西海岸の腕利きミュージシャン達がバックを固めたAOR的なサウンドが魅力の作品なんですけど、この ‘Company’ の様に強い感情が乗った曲が何曲かあって、それがアルバムの良いアクセントになっていると感じます。2ndアルバム以降もRickie Lee Jonesは良作を連発していますが、この初期衝動的な強い感情の乗った歌声は、やっぱり特別なものがありますね。