【音楽】名曲・名演セレクション その158 Charlotte Gainsbourg / 5:55

 Charlotte Gainsbourgの2ndアルバム“5:55”の1曲目タイトルトラック。

 Charlotte Gainsbourgはフランスの女優、歌手。Serge GainsbourgJane Birkinの間に生まれた娘という、60~70年代の仏好きとしては夢のような血筋をお持ちです。映画女優としても、『アンチクライスト』でカンヌの女優賞を受賞するなど評価の高い役者さんなので、そっちで御存知の映画好きもおられると思います。歌手としては、1984年、13歳の時に父Sergeとのデュエット曲‘Lemon Incest’でデビュー、86年に1stアルバム“Charlotte for Ever”を発表。しかし以降は91年に1stアルバムをプロデュースした父Sergeが亡くなった事もあり、女優としての活動が中心、歌手としては自身の主演映画の主題歌を歌うなど散発的な活動に留まっておりました。その理由としては、自己表現としての音楽を作るための取っ掛かりがなかなか得られなかったそうです。まぁ音楽家として余りに偉大な父Sergeの名声に泥を塗るような作品は出せないという意識は少なからずあったんでないかと私は思いますが (Serge Gainsbourgについてもその内機会があれば詳しく書きます。その内)。でその取っ掛かりとなったのが2003年頃、RadioheadのコンサートでのAirのNicolas Godin、プロデューサーのNigel Godrichとの出会いで、以降プロジェクトが進みだし、結局20年振りの2ndアルバムはプロデュース:Nigel Godrich、作曲と演奏:Air、歌詞:PulpのJarvis Cockerがメイン、ストリングスアレンジメント:David Campbell (Beckの父親で超売れっ子のアレンジャーです)、更にドラムとしてTony Allenが参加という、超豪華バックアップによる作品となりました。まぁそれだけGainsbourgという名前が大きいという事だと思います。歌詞を1曲除いて全て英語としたのも、偉大過ぎる父Sergeと自身を比べずに済むようにという思いからのようです。アルバム全体のテーマとしては、夜更け、夢と現の境目という感じでしょうか。そこはかとなく性的な要素がちりばめられているのは、父から受け継ぐのを意識したのかな。Nocturnal emissionって意味御存知ですか?ウィスパーボイスによるヴォーカルは母譲りですね。それをAirによる優雅なサウンドに乗せて、21世紀型のフレンチポップスという感じでしょうか。私も昔は不眠に苦しむ事がままありましたが、明け方近くに布団の上で悶えてる感じ、この曲を聴いてると思い出しますね。