【映画】『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』観てきましたので感想など

 という訳で、昨日初日に早速観て来ました。まずはネタバレにならない範囲で。

 まぁTVシリーズの結末からしてそうでしたが、劇場版は原作小説とは全然別のお話でした。ひょっとしたら原作ファンの方の中にはその点不満に感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、私は今回の劇場版も良いお話だったし別に良いじゃねぇかという立場です。

 それとひょっとしたら、別に映画館で観なくてもレンタルなんかで良いやと考えてらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、今作に関しては映画館で観る事を私はお勧めしたいです。今作は、外伝含めてこれまでのシリーズとは映像のスケール感が段違いです。絵の切り取り方なんかも明らかに映画館の大スクリーンに映す事を意識して作られていると感じました。まぁドデカいTVをお持ちの方もいらっしゃるとは思いますが…。であともう1つついでにお勧めしておくと、TVシリーズを復習しておくとより劇場版が楽しめると思います。大筋すら覚えてないとかは勿論ですが、各話しっかり観返しておくと、脇役の再出演なんかに喜べると思います。私も直前に突貫で観返した甲斐がありました。…実は試験期間だったのは内緒で。

 で肝心の映画が良かったのかですが…私としては激賞したいレベルで良かったです。ただ、イマイチストーリーに入り込めない方もひょっとしたらいらっしゃるんじゃないかと思います。その境目をネタバレにならないように書くと…駄目男を許せるか、ですかね。以下その辺もネタバレ込みで書きます。

 

 

 

 恐らく今作の評価の分かれ目になるのは、ギルベルトのラストに至るまでの行動をどう評価するかじゃないかと思います。「ゴチャゴチャ言ってないで会ってやれよ」と憤慨なさる方の気持ちも分かるのですが、ただ実は私ギルベルト以上の駄目男でして、その気持ちもよく分かるんですよね。大切な人の人生を自分のせいで台無しにしてしまったという、とてつもない後悔ですね。でそういう男はえてして自己評価が低いから、更に自分が関わっていく事で人生を良い方にしていけるというビジョンが持てないんですよね。でもその一方で、一緒にいたいという気持ちもある訳です。孔子は四十にして惑わずとか言ったそうですが、どこが不惑だよというのがアラフォーである私の意見です。まぁギルベルトは私より若そうですが。

 あと私が一番グッと来たのが最後のヴァイオレットの泣き顔ですね。言っちゃなんですが、不細工だったんですよ。でもこれまで人形みたいだと言われてたヴァイオレットにとっては、一番人間らしい顔だったように思います。そしてそれに加えて、あのハルヒのGod Knowsの顔を思い出したりして、あぁ、京アニや!って感じで。その相乗効果でキました。

 病気の少年のエピソードの絡め方も上手かったなと思います。それ1つで、ヴァイオレットの人間性の変化とか、仕事に対する姿勢とか、技術の進化と手紙の関係とかそういうあれこれを全部回収しましたからね。でおまけに死で感動まで持ってくる訳です。船のエピソードとかも、考えてみればギルベルトがどういう風に育ってきたか(原作小説では結構描写があったのですが、TVシリーズでは描写が薄かったところですね)を示すために必要な訳ですよね。計算されつくした見事な脚本だと思います。

  できればもう一回観たいですね。一回目の鑑賞では音楽とかまで味わい尽くせなかったので。Evan Callという方が担当されているんですよね。TVシリーズではとてもいい仕事をされていたと思います。特典小説も別のが欲しいし。ちなみに私のは『オスカーの小さな天使』でした。その内、外伝の特典小説も合わせて、短編集とかに纏めて下さったらありがたいのですが。