【音楽】名曲・名演セレクション その104 Pearl Jam / Better Man (Live)

 今回の定期更新は来月に7年ぶりの新作アルバム発売を予定しているPearl Jamです。新曲もなかなか面白いんですが、今回はひとまず旧譜からの選曲としました。Pearl Jamから1曲選ぶってのもクソ迷いますね。色々検討しましたが、結局良いライブ映像があるという事でこの曲としました。

 


Pearl Jam - Better Man (Live at Madison Square Garden - New York, NY 5/21/2010)

 Pearl Jamの3rdアルバム、Vitalogyの11曲目。

 Pearl Jamは90年代初めに起こったグランジと呼ばれるロックムーブメントを、同じくSeattle出身のNirvanaと共に代表するバンドです。グランジを簡単に説明すると、80年代の肥大化した産業ロックへのアンチテーゼとしての、ストリートやパンクに根差したハードロックって感じですかね。日本国内だと知名度的にNirvanaがかなり勝ってる感じがありますが、米本国だとPearl JamNirvanaに負けず劣らずの圧倒的ポピュラリティを誇るバンドであります。この映像の観客の合唱も凄いでしょ?

 でさて、アルバムVitalogyは94年の11月に発売されました。その年の4月にKurt Cobainが自殺してまして、その死の作品への影響を指摘する声もあります。もっともメンバー達は「Kurtの死を利用するつもりはない」とのスタンスですが。私が感じるこのアルバムの特徴は、生々しさ、ラフさですね。元々Pearl Jamは生っぽいグルーヴで演奏するバンドではあったのですが、今作では更にそれを推し進めると共にアレンジ面でも、一部の曲なんか「これデモじゃないの?」って感じの曲まで混じっているという感じ。これについては、彼らやNirvanaのブレイク以降自分達と同じようなバンドが雨後の筍の如く現れる中で、自分達の立ち位置を改めて明確に示す必要性を感じたという事かなと思っています。もしくはその前年に出たNirvanaのIn Uteroの影響ですかね。In UteroもNevermindと比べるとかなりラフ、インディー的な仕上がりでしたから、Pearl Jamの面々にもそれに負けずに思い切った作品を作ろうという意識が持ち上がったのかもしれません。

 で最後に楽曲Better Manですね。この曲は元々フロントマンであるEddie Vedderが高校生の頃に書いたものであるとの事です。何でも当時彼の母が再婚したらしい。という事でこの曲の歌詞、何かの隠喩なのかなとか思ってたんですが、どうもそのまんまみたいです。ひょっとしたら何か隠された意味を込めてるのかもしれませんが。この曲は2ndアルバム、Vs.のレコーディングの際にも取り上げられたようですが、キャッチー過ぎるとの理由で見送られたらしいです。アレンジを練り直すと共にアルバムVitalogyの全体のバランスも考慮して、今度こそ収録したというところでしょうか。この曲はThe beatというバンドのSave It for Laterという楽曲を下敷きにしているらしく、比べて聴いてみたらサビのコード進行がかなりそんな感じなのですが、やはり尚良い曲だと思いますね。